SBIホールディングスが新生銀行に仕掛けたTOB(株式公開買い付け)に、スルガ銀行と離婚協議中のノジマが“共鳴”している。場合によってはスルガ銀株の買い増しもあり得そうな雲行きだ。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

日本の銀行業界では異例の一手
SBIが仕掛けた同意なきTOBの衝撃

北尾吉孝・SBIホールディングス社長が新生銀行に仕掛けたTOB(株式公開買い付け)の波紋は、意外なほどに広がりを見せそうだ北尾吉孝・SBIホールディングス社長が新生銀行に仕掛けたTOB(株式公開買い付け)の波紋は、意外なほどに広がりを見せそうだ Photo:REUTERS/AFLO

「敵対的買収になろうが、お構いなしということなのだろう」。銀行幹部が驚きをにじませてそう語るのは、インターネット金融大手のSBIホールディングス(HD)が9月9日に発表した、新生銀行に対するTOB(株式公開買い付け)だ。

 SBIHDは、2021年3月末で19.85%あった新生銀株の保有比率を最大48%まで引き上げ、新生銀の連結子会社化を目指す。社長をSBIHD副社長の川島克哉氏に、会長を元金融庁長官の五味廣文氏に挿げ替えるといった経営陣刷新にも着手する構えだ。

 このTOBが銀行関係者を驚かせている理由の一つは、SBIHDが新生銀に対し、事前の連絡なしにTOBを発表したことにある。

 SBIHDの発表後、新生銀は今回のTOBについて「当行取締役会の賛同を得て実施されたものではない」とコメントを出した。

 SBIHDは「新生銀に抵抗する猶予を与えないかのような用意周到さ」(銀行幹部)で、発表の翌日からTOBを開始している。とはいえ、新生銀も簡単にのみ込まれまいと買収防衛策の導入などを検討しているもようだ。新生銀の今後の出方によっては、敵対的TOBに発展する可能性も否めない。

 買収先の同意を事前に得ないまま、資本の論理によって経営権を掌握にいくというのは、日本の銀行業界では極めて異例だ。

 そして、このSBIHDの異例の一手が、早くもある経営者の意思決定に影響を与えている。家電量販大手にして、スルガ銀行の筆頭株主であるノジマの野島廣司社長だ。