勉強中の学生写真はイメージです Photo:PIXTA

少子化が深刻な問題となっているが、教育産業の市場は堅調だ。2023年度は市場拡大が予測されているという。今回は、そんな教育産業に身を置く学習塾、早稲田アカデミーと東京個別指導学院の2社の決算書を比較してみよう。直近の業績では明暗分かれた両社だが、その理由は何だったのか。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)

少子化でも堅調な教育産業
早稲田アカデミーと東京個別指導学院の業績に明暗

 学習塾や予備校などを始めとした教育産業の市場動向は堅調に推移している。市場調査会社の矢野経済研究所によれば、2022年度の日本国内における教育産業全体の市場規模は約2兆8500億円と前年比で微減だったが、23年度には約2兆8630億円と再び増加に転じることが予測されている。

 今回は、堅調な需要が見込まれる教育産業の中から、大手学習塾である早稲田アカデミーと、個別指導に特色のある東京個別指導学院を取り上げる。両社のビジネスモデルの違いは、決算書や会計上の指標にどう表れているのだろうか。

 また、早稲田アカデミーの23年3月期の決算は増収増益だったのに対し、東京個別指導学院の23年2月期の決算は減収減益となり、直近の業績では明暗が分かれている。その理由は何だったのか。

 こうした点に着目しながら、両社の決算書を比較していくことにしよう。