ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)は傘下に13もの子会社を連ね、ビジネスを動かしてきた。特集『ジャニーズ帝国 最強ビジネスの終焉』(全16回)の#8では、それぞれの子会社が持つ役割などを明らかにし、巨大なジャニーズ帝国を解剖する。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
新会社社長に外部人材を招聘
子会社13社の巨大組織の全容
「表舞台から引退し、今後の人生を懸けてこの問題に取り組んでいく」。9月7日、ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)が開いた最初の記者会見。事務所の“長男”こと東山紀之氏は、藤島ジュリー景子氏から社長職を引き継ぐ覚悟をそう語った。
ジャニーズ事務所は被害者への補償を手掛けSMILE-UP.に社名を変え、エージェント契約を軸にタレントマネジメントを担う新会社を新たに立ち上げる。
当初、東山氏は両社の代表取締役に就く予定だった。ところが、一転して10月末に東山氏は新会社の社長には就任しない旨が報じられた。補償会社と新会社のトップを兼ねるのは、ガバナンス面で問題があると指摘されていたためだ。
ジャニーズ事務所はこの窮地を、外部人材の招聘で切り抜けようとしている。
金髪のオールバックに際立つ白さの歯──。新会社の社長に就任すると報じられたのは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント出身で、コンサルティング会社スピーディ代表取締役社長の福田淳氏である。
タレントのような存在感だが、福田氏は裏方としてキャリアを積んできた、芸能業界では知る人ぞ知る人物だ。スピーディはエージェント契約を軸としたタレントマネジメントを手掛ける。女優ののん(旧芸名、能年玲奈)とも契約を結んでおり、芸能人が独立後に“干される”慣行も批判してきた。
そして、新会社の副社長には井ノ原快彦氏が就く方向で、従来のようにコンサートの運営やタレントの育成を進める。
彼らは新たに発足する体制で、巨大な組織のかじ取りをしていかなければならない。実は、ジャニーズ事務所には子会社が13社も連なり巨大な帝国を形成している。
次ページでは、ジャニーズの巨大組織と子会社13社の全容を解剖する。音楽、グッズ、広告といった事業で巨額マネーを生み出す「マシン」の実態を明らかにする。