ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)は毎年、大手出版社からカレンダーを発行してきた。出版社にとっては“ドル箱”で、業界では「カレンダー利権」と呼ばれてきた。特集『ジャニーズ帝国 最強ビジネスの終焉』(全16回)の#12では、各出版社が手掛けるカレンダーの売上金額を明らかにするとともに、印税の取り決めといった契約内容についても詳報する。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
ジャニーズと大手出版社の関係
間に「カレンダー利権」が存在
人気女優との熱愛、未成年の飲酒・喫煙、強制わいせつ事件……。ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)は長い歴史の中で、数多くのスキャンダルに直面してきた。
週刊誌などにスキャンダルを「すっぱ抜かれる」ようなことがあれば、タレントを広告で起用している企業への損害賠償が生じるほか、コンサートの中止やファンクラブの会員減少などに直結する。
一本の記事によって数億円単位の損失が発生しかねないため、ジャニーズ事務所にとって出版社は何としてでもコントロールしたい存在だ。
ただし、ジャニーズ事務所と出版社はスキャンダルを報じられる側と報じる側という関係だけではない。
例えば、ファッション誌や女性週刊誌には、ジャニーズタレントのインタビューやライブレポートが掲載されている。ファンへの訴求を図るために、表紙にジャニーズタレントを起用する媒体も数多くある。
ジャニーズ事務所はそうした関係性を理解して、メディア対策を講じてきた。代表例として挙げられるのが、長年続いてきた「公式カレンダー」の発行である。
次のページでは、ジャニーズ事務所と出版社の間に存在してきた“カレンダー利権”の実態と、出版社にとってどれだけ「うまみ」があるのか具体的な金額を明らかにする。また、印税の取り決めなど両者の契約内容についても詳報する。