「週刊文春」はジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)と20年以上戦ってきた天敵ともいえる存在だ。特集『ジャニーズ帝国 最強ビジネスの終焉』(全16回)の#13では、「週刊文春」の加藤晃彦前編集長を直撃。ジャニーズの性加害問題を巡る取材秘話や今後の芸能界の在り方について語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
ジャニーズ・テレビ・ビジネスの
3極構造がジャニーズを巨大に
――「週刊文春」は20年以上ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)と戦ってきました。ジャニーズはなぜここまで強大な存在になったとみていますか。
ジャニーズ事務所とテレビ、ビジネス界の「トライアングル」の構造があったと思います。
ビジネス界はスポンサーとしての金の出し手ですね。テレビにとっては、ファンの多いジャニーズのタレントを起用すれば、視聴率が取れるだけでなく、企業のCMが入る。ジャニーズ事務所は、CM収入を稼げるだけでなく、テレビやCMに出られる機会が多いからとタレントになりたい若者が集まります。これがどんどん回り、巨大になったのです。
もう一つ考えるべきは、電通や博報堂といった大手広告代理店の責任です。本来、企業側の“代理人”としてジャニーズ事務所をチェックし、企業に注意喚起すべきでしたが、むしろ事務所側に付いて、お墨付きを与えてしまった。
テレビ局が検証番組を放送する今、代理店が沈黙を貫くことは、性加害の隠蔽への加担を認めていると言われても仕方がないでしょう。
――テレビ局だけでなく、主要な大手メディアも「週刊文春」がジャニーズ問題を追及する一方で、沈黙してきました。
次ページでは、長くジャニーズと対峙してきた週刊文春の加藤晃彦前編集長が、英公共放送BBCによる性加害問題の放映以降、この問題を社会に広く認知させるために採った戦略を明かす。また、今後のジャニーズ事務所や芸能界の行方についても余すところなく語る。