JERAJERA Photo by Masataka Tsuchimoto

2年後のCOPC30では、世界各国が、2035年に向けた温室効果ガスの削減目標を持ち寄ることになっている。日本でも第7次エネルギー基本計画の策定作業が進むことになる。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、基本計画の焦点と鍵を握るエネルギー関連企業のメンツを徹底解説する。(国際大学学長・大学院国際経営学研究科教授 橘川武郎)

COP30まで残り2年
第7次エネ基に大注目

 2年後の2025年11月にブラジル・ベレンで開催される予定のCOPC30(第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、世界各国が、35年に向けた温室効果ガスの削減目標を持ち寄ることになっている。

 それへ向けて、日本でも、今年から25年夏にかけて、第7次エネルギー基本計画(第7次エネ基)の策定作業が進むことになる。

 第7次エネ基では、何が焦点となるだろうか。

 この点を考察する際に足がかりとなるのは、広島で開催されたG7(先進7カ国首脳会議)の本会議に先立って、23年4月に札幌で行われた主要7カ国のエネルギー・環境担当大臣会合において、「35年に温室効果ガス(GHG)の排出を19年比で60%削減する」ことの重要性が、共同声明に盛り込まれた事実である。

 日本は、G7の開催国として、この新しい削減目標を事実上、“国際公約”したことになる。

 日本のこれまでの国際公約は、「30年に温室効果ガスの排出を13年比で46%削減する」というものであった。「35年GHG 19年比60%削減」という新しい国際公約は、従来の基準年に合わせて「13年比」に換算すると、「66%削減」を意味する。期限が30年から35年へ5年間延びるとはいえ、削減比率は46%から66%へ20ポイントも上積みされるのである。

 上積みされる新目標を達成するためには、わが国は、異次元のエネルギー政策の転換を実現しなければならない。この政策転換こそが、第7次エネ基の焦点となる。