原子力産業に関する大統領令に署名するトランプ大統領 Photo:Win McNamee/gettyimages
日米政府は、日米関税合意に基づく5500億ドル(約86兆円)の対米投融資を巡る投資先案件の絞り込みに入っている。ソフトバンクグループが絡むデータセンターが第1号案件に浮上していると一部報道で出たように、対象事業で圧倒的なボリュームを占めるのはエネルギー分野、とりわけ原子力関連で、続いてAI(人工知能)インフラ、すなわちデータセンターや電源関連投資だ。エネルギーとコンピューティング・リソースという二つの領域は、今後の経済安全保障戦略の中核に位置付けられている。連載『エネルギー動乱』の本稿では、この2分野を軸に、日本企業にとってのチャンスとリスクを読み解く。(エネルギー政策研究所長 山家公雄)
関税引き下げと引き換えに合意した5500億ドル
ファクトシートに挙げられた事業候補は21件
今回の枠組みは、日米が共同で立ち上げる戦略産業とサプライチェーンの「再設計図」といえる。総額5500億ドルという数字は、投資額ベースの規模を示す。投資実行は特別目的会社(SPC、SPV)を通じて行われ、日本の政策金融機関であるJBIC(国際協力銀行)やNEXI(日本貿易保険)が出融資・保証を担う見通しだ。
事業候補は、日米投資協議委員会で協議され、米国側の投資委員会による推薦を経て、最終的には大統領承認を要する政治色の強い枠組みとなっている。ただし、その本質は「経済安全保障を軸にした産業再編プログラム」である。昨年12月18日以降、協議委員会が4回開かれている。
日米は昨年7月、米国の関税引き下げと引き換えに5500億ドル(約86兆円)の対米投資で合意した。両政府による覚書では、協議委員会は投資候補について米政府に意見できるが、最終的にはトランプ大統領が決定する。ファクトシートには21件の事業候補が挙げられ、想定金額を単純合算すると3935億ドルに達する。ただし数値は投資額と売り上げ見込みが混在し、あくまで「最大値」である点には留意が必要だ。
次ページでは、ファクトシートの大宗を占めるエネルギーとコンピューティング・リソースの分野に焦点を当て、参加企業の顔触れや、事業面でのチャンスやリスクを解説する。







