当初の「巨大経済圏」実現は遠のく
10年迎え「曲がり角」鮮明に
提唱から10年を迎えた中国の「一帯一路」構想の国際フォーラム(第3回)が10月17、18日、北京で開かれ、ウクライナ侵攻後、初の中国訪問となったロシアのプーチン大統領をはじめ140カ国以上の代表が参加した。
習近平国家主席は演説で、「この10年で実りの多い成果を上げてきた」と一帯一路の実績を強調する一方で、新たに8項目の行動計画を示したが、その内容は、小規模な国民生活支援プロジェクトの推進やグリーンエネルギーなどの協力深化など、構想の規模縮小、質への転換を表明するものになった。
構想は習主席が2013年に提唱して以降、重要な国家政策と位置付けられ、中国は南米やアフリカなどの諸国とも経済的な結び付きを強める一方で、中国にとって戦略的に重要な地域には巨大港湾や飛行場などのインフラ整備を進め、構想は「中国膨張」の象徴にもなってきた。
ここに来ての「転換」の背景に何があるのか。フォーラムでの習近平演説からは、今後の中国の対外戦略の方向感や課題が浮かび上がる。当初、もくろんだ巨大経済圏の実現は遠のいたものの、一帯一路は依然、重要な構想として機能するとみられる。