新型コロナウイルス禍が過去のものとなりつつあるが、多くの業界においてコロナ前への完全な逆戻りは起きず、新たな事業環境に突入している。そこで上場約50社、15業界における月次の業績データをつぶさに見ると、企業によって業績の明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「【月次版】業界天気図」。今回は、2023年9月度の鉄道(関西の私鉄)編だ。
阪神優勝!宝塚が大揺れ…親会社の経営状況は?
私鉄(関西)の主要5社が発表した2023年9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯阪急電鉄(阪急阪神ホールディングス〈HD〉)の運輸収入
9月度:前年同月比113.3%(13.3%増)
◯阪神電気鉄道(阪急阪神HD)の運輸収入
9月度:同114.5%(14.5%増)
◯近畿日本鉄道(近鉄グループホールディングス〈HD〉)の運輸収入
9月度:同124.5%(24.5%増)
◯京阪電気鉄道(京阪ホールディングス〈HD〉)の運輸収入
9月度:同113.3%(13.3%増)
◯南海電気鉄道の運輸収入
9月度:同123.0%(23.0%増)
5社いずれも前年実績を上回った。特に、近鉄と南海は20%以上、増収している。
ところで、関西の鉄道に関連する最近の話題といえば、何と言ってもプロ野球球団・阪神タイガースが38年ぶりに日本一に輝いたことだろう。11月23日には、阪神タイガースとオリックス・バファローズの優勝パレードが大阪と神戸で行われる。
また、もう一つ世間を賑わせているのが、宝塚歌劇団にまつわる疑惑だ。劇団員の転落死をきっかけに、長時間労働やハラスメント、閉鎖的な組織の体質が問題視されている。
今話題の阪神タイガース、宝塚歌劇団ともに親会社は関西を代表する鉄道会社だ。それでは、親会社の経営状況はどうなっているのだろうか?
鉄道各社は今春、運賃の値上げに踏み切っている。次ページで、各社の過去約4年分の月次の推移をデータで振り返り、大きなダメージを受けたコロナ禍からの回復度と値上げの関係性についても分析してみよう。