企業が真に価値を創造・継続・発展させていくためには、時間軸や価値構造を拡張し、将来を見据えた「統合思考」で経営を実践していくことが重要となる。書籍『【実践】価値創造経営』では、これからの時代に対応する企業価値創造のための経営管理の考え方、フレームワーク、実践手法、そのツールとなるテクノロジー、価値創造経営への変革マネジメントについて解説している。

経営の本質は企業価値を高め、企業の未来を創ること〈PR〉photo AC

2つの「シコウ」が価値創造経営実践のキーワード

 不確実性が高まり、企業内外のさまざまな視点から「経済的価値と社会的価値の両面での経営」が求められていることが、「結果管理」「経済価値管理」を踏まえた「過去の延長に未来がある」という従前の前提から脱却して、「価値創造経営」が必要とされる理由であれば、経営はどのように変革すべきなのでしょうか。

 経営の本質は、「企業価値を高め、企業の未来を創ること」です。PwCでは、企業が真に価値を創造・継続・発展させ、未来を創るには、従来の財務的・短期的業績管理から、「時間軸」と「価値構造」という2つの範囲を拡張し、2つの「シコウ」を変革することが要諦だと考えています。

 1つ目のシコウとは、時間軸を拡張して、目指す時制を変える、という意味で、志す方の「志向」です。

 2つ目のシコウとは、価値構造を拡張して、捉える要素を変える、という意味で、考える方の「思考」です。

目指す時制を変える「志向の変革」

 将来を見通せない状況が続いているからこそ、経営者は、これまでの「業績管理」のように短中期な「過去から現在(実績)」だけに焦点を当てるだけでは、経営管理は成り立ちません。

 中長期に照準を定め「将来・未来」を焦点に加えて、そこからのバックキャストで現在を考える視点と現在から将来を考える視点とを混在させることで、長期的に予測した上で、そこからバックキャストして価値創造ストーリーを立案・可視化して、ステークホルダーの共感を得ることが肝要です。

 これが、価値創造経営を実践する上で要諦の1つとなる「時間軸の拡張」であり、目指す時制を変える「志向の変革」です。