「子どもをモノで釣る」親が覚悟しなければいけないこと写真はイメージです Photo:PIXTA

「成績が上がったら○○を買ってあげる」と、ついモノで釣ってしまうーーそんな経験はありませんか。実はこれが習慣化すると悪影響が出てくるので要注意です。25年間で延べ5000名以上のバイリンガルを育成した経験から解説します。(TLC for Kids代表 船津 徹)

※この記事は『「強み」を生み出す育て方』(船津徹・ダイヤモンド社)から一部を抜粋・再編集したものです。

子どもをモノで釣るのは正解なのか?

「100点を取ったらおもちゃを買ってあげる」「成績が上がったらお小遣いをあげる」など、報酬をモノやお金にすることは(小学生以上の子どもにとって)必ずしも悪いことではありません。

 しかし、モノやお金を報酬として与えることが習慣になると、報酬がなければその行動を自分から進んでやらなくなったり、どんどん高価な報酬を与えなければいけなくなったり、報酬の魅力が減ったりして、効果が薄れてしまうので注意しましょう。

 子どもをモノで釣る行為は、裏を返せば「親の言うことを聞けばモノがもらえる」というメッセージを子どもへ送ることでもあります。子どもがこれを逆手に取るケースも考えられます。「言うことを聞いてもらいたければモノをよこせ!」と要求するようになるのです。

 かくいう私も小学校の入学式当日に「学校に行かない!」と駄々をこねて、欲しかった自転車をまんまとせしめた経験があります。皆さんも、子ども時代を振り返ると、親や祖父母を困らせてモノを手に入れた経験が一度や二度はありませんか。

 親は軽い気持ちでモノで釣りがちですが、子どもはそう受け取らないのです。子どもは本当に賢いですから、経験から学習します。モノで釣られる経験を繰り返すうちに、「勉強してもらいたければスマホを買ってくれ!」となるのは自然なことです。

 モノやお金よりも、子どもにとって一番嬉しいのは、親から認めてもらうこと、親から努力をほめてもらうこと、親から受け入れてもらうことです。子どもが自発的な意欲でがんばったことは、結果が伴わなくても「よくがんばったね」とほめて、励ましてあげてください

 子どもの年齢が上がり、勉強や習い事の難易度が上がると、がんばった分だけ報われるということは少なくなります。一生懸命勉強しても成績が思うように伸びなかったり、必死で練習しても試合やコンテストで負けることもあるでしょう。そんな時、一番近くにいる親が「よくがんばったね」と努力を認めてあげれば、子どもが「やる気」を失うことはないのです。

子育て成功のカギは「強み育て」にある

「子どもをモノで釣る」親が覚悟しなければいけないこと「強み」を生み出す育て方』 (ダイヤモンド社)定価:1980円(税込)

 子どもが社会の変化に翻弄されずに、自分らしく幸せに生きていくには、失敗や挫折に負けない「たくましさ」を確立しなければなりません。一生ものの武器になるたくましさですが、どのように育てれば良いのでしょうか?

 たくましさが育つ要因は、家柄、血筋、遺伝ではありません。もちろん親の学歴や職業も無関係です。「子どもの潜在的な強みを引き出すこと」でたくましさは育つと断言できます。

 つまり、子育てで最優先すべきは「強み育て」なのです。強みは、音楽でもスポーツでも勉強でも、なんでもいいのです。