OpenAI写真はイメージです Photo:123RF

ChatGPTを開発した米オープンAIで起きたCEOの解任劇。従業員の署名活動も注目された“クーデター”の真相とは…? ソフトバンク元社長室長で孫正義氏の右腕だった筆者が、「AI時代の支配的な特定企業」を決める水面下の抗争を大胆分析する。(トライオン代表 三木雄信)

オープンAI“クーデター”の真相は…
AI時代を支配する水面下の抗争か

 2023年に最も注目されたテクノロジー企業が、ChatGPTを開発した米オープンAIであったことは間違いないでしょう。そして、11月17日に突如として起きた同社サム・アルトマンCEOを巡る取締役会の解任劇も大きな話題となっています。

 この“クーデター”は、人類史とは言い過ぎにしても、少なくともテクノロジー業界の歴史上の大きな出来事として記憶されることになると私は思います。なぜならば、このクーデターの真相を探ると、「AI時代の支配的な特定企業」を決める水面下の抗争があったと分析できるからです。

 これまで、トレンドに応じてあるテクノロジーが主流である一定期間、そのテクノロジーを支配する特定企業が、IT業界で独占的なポジションを占めることが繰り返されてきました。

 例えば、2000年代のインターネット普及以前のパソコン時代の支配的な企業は、半導体を支配する米インテルとWindowsでOSを支配する米マイクロソフトの2社でした。当時はこの2社連合を「Wintel」と呼んだものでした。

 その後、ビッグテック4社であるGoogle(現Alphabet) 、Apple、Facebook(現Meta)、Amazonを「GAFA」と呼んでいます。しかし、この4社の独占的なポジションは、生成AI時代が始まった23年以降のテクノロジーの支配者を決める熾烈(しれつ)な競争においては、もう過去のものになりつつあるのかもしれません。

 GAFAのポジションが変わる生成AI時代の競争とは何か。そして、オープンAIのクーデターの真相とは? 海外報道も見ながら、分析していきましょう。