30年前から構想されていた
待望の路線

なにわ筋線が注目される理由は3つある。

 1つ目の理由は、約30年以上前から構想・計画されていた待望の路線ということだ。交通政策的な価値や必要性は20年以上前から認識されていたが、高い建設費などの面から、事態が動かない期間が長く続いていた。

 それが2010年以降、外国人観光客の増加が後押しとなって動き出す。2019年7月、ついに国土交通省によって鉄道事業法に基づく鉄道事業が許可された。

 2つ目の理由は、関西の人流が変わることだ。いずれも現段階で仮称だが、なにわ筋線には「大阪」「中之島」「西本町」「南海新難波」の4つの新駅が設置される予定となっている。

「中之島」エリアには2008年に開業した京阪中之島線の「中之島駅」があり、ここを起点に京都方面へも移動できる。「南海新難波」は、地図上では現在の「大阪難波駅」にほど近い。この駅は阪神電車で神戸方面、近鉄で奈良方面へとつながっており、各都市への交通利便性アップも期待される。

 さらにここへ阪急電鉄も加わった。今年7月、既存の「十三駅」を中間地点に、新大阪駅から新路線の大阪駅までをつなぐ連絡線を開通し、阪急が関空まで直通急行を乗り入れる計画を表明。2031年の開業を目指すという。

 そして最後の理由は、新駅周辺への経済効果が期待されることだ。

 例えば中之島は、大阪中之島美術館や大阪国際会議場(グランキューブ大阪)、西本町は京セラドーム大阪などの施設が近い。イベントを目的に飛行機や新幹線でやってくる人にも、目的地へ移動しやすくなるのは喜ばしいことだろう。