大規模工事が進む
なにわ筋線新駅周辺の街

 さらに現在大規模工事が進む新路線の沿線は、ビジネス街でありながら、都心回帰により住宅街化が進んでいる。本社機能を東京に移した企業や、時代の移り変わりで役目を終えた施設の跡地に、次々タワーマンションが建つ。これはある意味大阪らしい傾向なのかもしれない。

 ちなみに筆者はこのエリアで15年前に単身居住用の部屋を購入し、今年ほぼ値崩れなく売却できた。買い手は台湾の投資家だった。外国人不動産投資家からもかなり注目されているのだという。

 大阪府や市の全域は、他の多くの市町村と同様、すでに人口減少のタームに入っている。だが「大阪都心6区」と呼ばれる地域は人口増加傾向にある。

 なにわ筋線が通るのが北区、福島区、西区、浪速区で、この都心6区に含まれるエリアだ。すでに子育て世帯からの人気が高い。急激に増加した児童数に対して学校の校舎や教室が追いつかず、公立の小中高一貫校を新設する動きもあるほどだ。

 またタワマンが建つ一方で、既存マンションにはいわゆる「民泊」部屋が増加した。スーツケースを持つ外国人グループが、集合玄関でたむろするシーンをよく目撃する。マンション内で尋ねられ、案内したこともある。コロナ禍で一度なくなったが、今年後半はそんな光景も街に戻りつつある。

 そしてもちろん、これまで通り近隣のオフィスで働く人たちも多い。新路線の工事関係者も増え、以前はカフェだった店がラーメン店に入れ変わるなどの現象を、個人的に興味深く眺めている。

 日本中で少子高齢化が叫ばれる裏で、通勤者と子育て世帯とインバウンド客が混在する新たな「カオス感」が、このエリアの特徴になっている。