2031年に開業予定の「なにわ筋線」は
どこを走り、何が変わるのか
「なにわ筋線」は大阪の「なにわ筋」の地下を通る新路線で、御堂筋の2つ西側にある大通りがなにわ筋だ。
大阪市内を南北に貫く大通りは「〇〇筋」と呼ばれるため、大阪の地下鉄には「御堂筋線」や「堺筋線」など「筋」が付く路線名がある。しかしまずもって、「なにわ筋線」は、既存の地下鉄に追加される路線ではない。
この路線は新大阪駅と関西をダイレクトに結ぶ、JR西日本と南海電鉄の共同プロジェクトとなる。開業すると、新大阪と関空間のアクセスを最大で20分短縮する。ちなみに線路の建設と保有を「関西高速鉄道」という第三セクターの鉄道事業社が担い、旅客サービスを提供するのが先の2社、という座組みだ。
現在、新大阪から関空に向かう人はほとんど、地下鉄でなんば駅まで移動して南海に乗り換えるか、JRで一度大阪駅に出てそのままJRを乗り継ぐかしている。その場合、JRの大阪環状線、もしくは地下鉄御堂筋線を利用する必要がある。
しかし現実的にはどちらも混雑率が高い。大阪メトロ御堂筋線はビジネス街をつないでいるため、荷物を持っての移動が通勤ラッシュの時間帯と重なると、かなり苦しい。
さらに大阪環状線の特に西側は、USJを訪れる観光客にもよく使われる。しかも大阪環状線はダイヤが厄介で、同じホームから同じ線路を通って、異なる行き先に向かう電車が発着することがある。「周回が基本の山手線の感覚で乗っていたら、想定外の場所に連れて行かれた」という経験談を何度か聞いたことがある。
なにわ筋線開業には、それら2路線への集中緩和も期待されている。2021年、地下線路や新駅を設置するための工事が始まった。