いち早く人口減少を経験した大都市
大阪のカオスな魅力
大阪はかつて「東洋のマンチェスター」とたとえられていた黄金時代がある。繊維業や造船業で栄え、日本一の都市、世界でも6番目の人口の都市だった。それにより公害などの問題も起こった。今から約100年ほど前のことだ。新路線周辺にはその頃の時代を感じさせる建築物も残る。
その後は東京への一極集中が進み、大阪市が人口減少に転じたのが1965年から。早くから人口減少が見られた政令指定都市には、ほかに京都市や北九州市がある。しかしいずれもピークは1970年代終盤以降で、大阪市はそれに先駆けている格好だ。なお諸説あるが、日本全体の「人口減少元年」は2008年といわれている。
ちなみに御堂筋はもともと下り専用で6車線あったが、2037年には全長約4kmのうち約3kmを完全歩道化する構想があり、こちらも注目を集めている。この年は御堂筋の完成100周年にあたる。
100年を1つの単位に、一度拡大した都市を再編する動きが興味深い。そして単に規模を縮めるのではなく、国境を超える人や金の流れや、暮らし方の変化を取り込むのがポイントだ。
あの新世界界隈はいまや外国人旅行客であふれ、西成のドヤ街が人気の安宿街に様変わりしている。少なくとも筆者が大阪で暮らし始めた約30年前には、誰も想像していなかった未来だ。
大阪は人口減少時代の都市の先駆事例になれるのだろうか。なにわ筋線の開業を心待ちにしながら、東京の後追いでなく、持ち味の「カオスさをアップデートする」方向の発展に期待したい。