平均年収が急上昇した
2位の日置電機と4位のスター精密

 2位は長野県に本社がある電気計測器メーカー、日置電機で平均年収は980.4万円(平均年齢46.1歳)。21年版ランキングは769.9万円(平均年齢45.1歳)、22年版は923.0万円(平均年齢45.9歳)と大幅な増加傾向にある。その背景にあるのは好調な業績だろう。

 世界的に脱炭素化が進む中、バッテリー、モーター、電子部品関連の計測器需要は高い。同社の計測器は細分化されたニッチな市場でそれぞれシェア上位を誇る。日置電機の22年12月期の業績は、売上高343億7100万円(前年同期比17.2%増)、当期純利益53億3000万円(同17.9%増)と好調で、営業利益と経常利益は過去最高となった。

 3位は北海道銀行と北陸銀行の持ち株会社、ほくほくフィナンシャルグループ(FG)で平均年収は968.4万円(平均年齢49.2歳)。22年版の平均年収からは2.7%減ったが、トップ5にランクインした。

 なお、持ち株会社は一般的に、企業グループにおける“少数精鋭部隊”であり、グループ全体の年収水準よりも高い傾向がある。

 4位はスター精密で平均年収は939.1万円(平均年齢42.4歳)。静岡県に本社を置く、小型プリンターや工作機械 (CNC自動旋盤等工作機械)を製造するメーカーだ。時計や自動車、歯科用の精密部品を加工する工作機械で高い世界シェアを持つ。

 22年版ランキングの平均年収は774.1万円。今回、21.3%も平均年収を伸ばした背景には、2位の日置電機と同様、やはり好調な業績があるだろう。22年12月期決算は、主力の工作機械の販売が海外市場、国内市場ともに大幅に増加し、さらに円安の恩恵も加わり、大幅な増収増益だった。売上高、当期純利益は過去最高を更新した。

 5位は北國フィナンシャルホールディングス(HD)で、平均年収は926.9万円(平均年齢43.5歳)。石川県に本社を置く北國銀行グループを統括する金融持ち株会社だ。

 ランキング完全版では、6位以下の全200社の順位と平均年収を掲載している。惜しくもトップ5入りを逃したヤマハ、また、スズキ、ヤマハ発動機、セイコーエプソン、スルガ銀行、100円ショップのセリア、アウトドアブランドのスノーピーク、家電のツインバード、キノコのホクト、ホームセンターのコメリなどは何位にランクインしているのか、ぜひチェックしてみてほしい。

 それでは次ページから6位以下を一挙に公開する。

 最後に、ランキングの「癖」について説明したい。それは、持ち株会社(ホールディングス)と事業会社が混在していることだ。

 持ち株会社として上場している企業の中には、経営企画や人事系など、少数の幹部社員だけしか在籍していないところがある。すると、その企業の実態(グループ全体)よりも年収が高く出てしまう恐れが強い。そうした「癖」の影響をなるべく排除するために、従業員が20人未満の会社はランキングから除外した。

 一方で、企業の中には、一般社員よりも平均年収が低い契約社員を含めている場合がある。他にも、定年退職者の雇用を積極的に進めている企業や、地方に本社を構える企業も年収が低くなる場合がある。

 こうした事情を踏まえて、ランキングを見てほしい。平均年収に合わせて、従業員数も掲載しているのはそのためだ。

(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)