資生堂の化粧品Photo:Kevin Mazur/gettyimages

新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は花王、資生堂、ユニ・チャームの「生活用品」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

資生堂が15%超の四半期減収
業績下方修正で株価も下落

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の生活用品業界3社。対象期間は2023年5~9月期の四半期(3社いずれも23年7~9月期)としている。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・花王
 増収率:マイナス1.6%(四半期の売上高3874億円)
・資生堂
 増収率:マイナス15.3%(四半期の売上高2282億円)
・ユニ・チャーム
 増収率:0.2%(四半期の売上高2335億円)

 生活用品3社の四半期増収率は、ユニ・チャームこそ増収を死守したものの、花王と資生堂は減収という結果だった。中でも、資生堂は15%超の大幅減収だ。

 資生堂は第3四半期累計で見た業績においても、売上高が前年同期比5.3%減、営業利益が同27.6%減、純利益が同29.4%減と苦戦。通期業績予想(23年12月期)の下方修正を余儀なくされた。

 この結果が嫌気され、資生堂が決算を発表した11月10日を機に同社の株価は下落している。

 決算発表前は4800円台後半で推移していた株価は、週末を挟んだ翌取引日には株価下落の下限である「ストップ安」水準となる700円安(前取引日比14.3%減)の4185円まで急落。本稿執筆時点の11月30日時点では、ついに4000円台を割り込み3966円まで沈んだ。決算発表前に付けていた4885円から実に18.8%安となった。

 これまで本連載で解説してきた通り、資生堂では新型コロナウイルス禍を機に日用品などの売れ行きが落ち込んだ。そこからの挽回策として21年7月に「TSUBAKI」「UNO」といった低価格帯の日用品ブランド事業を売却するなど、構造改革に力を入れてきた。

 にもかかわらず、コロナ禍が落ち着いてきた今も、なぜ資生堂は苦戦を強いられているのか。次ページでは各社の増収率の推移と併せて、資生堂の業績について詳しく解説する。