シェアでんき+Tesla Powerwallのサービス提供イメージ
シェアでんき+Tesla Powerwallのサービス提供イメージ

昼間は太陽光で作った電気を家の中で使い、余った電気をバッテリーにためておけば、日が沈んだ夕方以降はこのバッテリーから電気を使う形で、外から買う電気を最小限で済ませることができる。この新サービスも初期費用は無料だが、蓄電池の利用料金として月額1万7800円がかかる。

現在、シェアでんきの契約は依頼数ベースでは5000件を超え、設備の設置を担当する住宅建設会社などの提携事業者も600社を突破した。上村氏はシェアでんきについて、「これまでの、安い電力会社への切り替えや、再生可能エネルギーで発電された電気を買って使うというスタイルとは、ちょっと切り口が違ったサービスです」と説明する。

「4年前にサービスをスタートした時には、シェアでんきのような『0円ソーラー』というモデルはまだありませんでした。最近では似たモデルが出てきていますが、初期費用0円という見え方になっているだけで実際には設備費を単にリース・割賦で売っているだけというサービスが多いんです。我々はシンプルに、設置してもらえば使う電気代が安くなるという経済メリットが出るサービスを提供しています。ちょっと長いですが20年間で見ると何もしなかった場合と比較して、おおよそ100万円ぐらいは得をする計算になっています」(上村氏)

米欧でも注目される住宅用エネルギー源「Behind The Meter」

世界的にも、住宅に太陽光発電システムや蓄電池を設置して活用する分散電源の事業は伸びている。調査会社のReport Oceanは、屋上設置型太陽光発電(PV)の世界市場が2022年から2030年までに年平均成長率6.4%で成長し、2030年には852億ドル(約10.5兆円)規模に達すると予測する。

シェアリングエネルギー事業開発室長 井口和宏氏
シェアリングエネルギー事業開発室長 井口和宏氏

井口氏によると、直近では海外でも、メガソーラーや巨大風車を使った風力発電などの産業用電源に代わって、住宅用のエネルギー源をいかに活用するかという「Behind The Meter(電力メーターの後ろ)」と呼ばれる領域の事業展開にフォーカスが当たっているという。

たとえば、欧州最大の蓄電池アグリゲーターであるドイツのSonnen(ゾネン)はもともとは蓄電池メーカーだが、小売電気事業者として自社で電力の小売も行っている。Sonnenは、蓄電池を購入した顧客を統合してコミュニティ化し、そこで電気を融通し合うというユニークな取り組みを行っている。太陽光発電で余った電力を蓄電池にため、電気の需給バランスが取れないときに放電し、コミュニティ内で電力が足りない家へ供給する。再生可能エネルギー100%で電力を賄っているという点が特徴的で、2019年には石油メジャーのシェルグループが買収。時価総額は数百億円を超えるとも言われている。