「その一方で、投資の“入り口”の部分にフォーカスしていた分、投資後のサポートという“出口”の部分にはタッチできていなかった。もともとの戦略自体に組み込まれていなかったこともあるのですが、6年間の活動を踏まえて、今後の僕らの挑戦としては投資した後も会社がスケールしていくためのサポートをしていく、ということになると思っていました」(本田氏)

本田氏の“右腕”として、KSK Angel FundとDreamers Fundでパートナーとして投資の実務面などを担当してきた中西武士氏は、こう続ける。

「セレブリティなど海外の著名人と共同で投資ファンドを運用することで、トップティアだけしか知らない良い投資案件が入ってきますし、機関投資家から資金も調達できる。それはDreamers Fundの運用を通して証明できました」

「ただ、アメリカでは自分たちと同じような動きをしているところはあり、今後もDreamers Fundと同じようなことをやっているだけでは競争に負けてしまう。では、どんなことをしていけばいいのか。今後、世の中が向かっていく方向性から逆算して生まれたアイデアがXPV Circle Fundでした」(中西氏)

XPV Group Co-Founder&CEOの中西武士氏
XPV Group Co-Founder&CEOの中西武士氏

この20年間で富裕層に起きた変化、なぜ著名人のサポートなのか?

XPV Circle Fundは海外の著名人を対象に、彼らが自身の投資ファンドを立ち上げる際のLP出資に特化したファンドだ。XPV Circleという名称ではなく、それぞれのファウンダーの名称でファンドを組成するのも特徴となっており、ファンド組成のための資金提供以外にも、トップティアの投資案件を獲得するためのネットワークや日々の投資オペレーション、投資後のバリューアップなどの支援にも取り組んでいくという。

海外では、セレブリティやアスリートなどの著名人が自身の投資ファンドを立ち上げる動きは、自然なものとなってきている。

例えば、俳優のアシュトン・カッチャー氏は2011年に投資ファンド「A-Grade Investments」を立ち上げたほか、プロテニス選手のセリーナ・ウィリアムズ氏は2014年「Serena Ventures」を立ち上げている。また、投資ファンドは立ち上げていないものの、レオナルド・ディカプリオ氏やジャスティン・ビーバー氏など、エンジェル投資家としてスタートアップに投資する著名人は数多くいる。

「企業との広告契約によって目先のキャッシュを得るのではなく、スタートアップに投資して10年後のキャピタルゲインを狙いにいく。アメリカを中心に、そういう考え方をする著名人が増えてきたなと思います。時代が変わってきたな、と」