「一方で、一定の資産があったとしてもVC業界が特殊すぎる環境のため、自身の資産や影響力を活用したD2Cブランドを立ち上げていても、資産を使ってエクイティ投資をするためのファンドを立ち上げられていない著名人は多くいます。その課題を解決するために、著名人が自身の投資ファンドを立ち上げる際に必要となる資金や機能を提供できるプラットフォームを立ち上げるべきではないかと思いました」(本田氏)

日本の著名人で投資ファンドを立ち上げている人は少ない(編集部注:2020年にYouTuberのJJコンビが投資ファンド・iFundを立ち上げた事例はある)。中西氏によれば「海外ではエンドースメント(企業が著名人と肖像権利用や商品化権などに関する独占契約を結ぶこと)を経験し、D2Cブランドの会社を立ち上げた後、投資ファンドをつくる著名人は増えてきている」とのこと。XPV Circle Fundのジェネラル・パートナーを務めるSohail Prasad(ソハイル・プラサド)氏も、XPV Circle Fundが定義する「ファウンダー」のひとりだ。

ソハイル氏はプライベートマーケットの取引所・Forgeの創業者・CEOとして、同社を2022年3月にニューヨーク証券取引所に上場させている。また、エンジェル投資家として200社以上のスタートアップに投資を実行しており、そのうち15社がすでにユニコーン企業になっているという。

「僕も話を聞いて、びっくりしましたよ。彼の投資先だけで、すでに日本のユニコーン企業の数を上回っているわけですから」と、本田氏は語る。本田氏はソハイル氏の会社に投資をし、実際に会って話をする中で、今回の取り組みのアイデアを聞いた。

「本田氏や中西氏からDreamers Fundの話を聞く中で、一定の資産を持つ著名人が投資ファンドを立ち上げる際のサポートをするプラットフォームは必要だと思いました。それは自分自身がこれまでに投資を経験してきた中で感じた課題でもあったんです」

「この20年で個人がエンタープライズ(企業)になる時代に変わってきている。彼らがスタートアップへの投資を始めやすくなるようなプロダクトやサービスを提供し、テクノロジーを通じて、著名人が持っているポテンシャルを最大化したいと思いました。実は世の中に、著名人の投資をサポートするプラットフォームはないんです」(ソハイル氏)

XPV Group Co-Founder&Executive ChairmanのSohail Prasad(ソハイル・プラサド)氏
XPV Group Co-Founder&Executive ChairmanのSohail Prasad(ソハイル・プラサド)氏

 

また、中西氏は「今までの20年間は不動産会社や石油会社の二世などが富裕層とされてきた」と前置きした上で、「今はテクノロジー企業の創業者やアスリート、俳優などが富裕層になっている。彼らは自分たちで資産を形成してきた人たちだからこそ、資産に対する根本的な考え方が異なる」と言う。だからこそ、自身の資産を元手に投資ファンドの立ち上げを考えている人は多く、すでにXPV Circle Fundにも話がいくつか来ているという。