1フロア1200平方メートルの新拠点、メルカリから備品などを一部引き継ぎ

CIRCLEの総面積は1206.3平方メートル(約365坪)。最大席数は 335席(ミーティングルームや個室ブースを除くと212席)で、運用開始時点でANRIのメンバーのほか、同社が出資するネットやディープテック、バイオ系などの創業期スタートアップ16社が入居する。同じスペースに壁を隔てないかたちでスタートアップと投資家の席を用意して、常に対面で話せる形式で入居スタートアップの支援にあたるという。

カフェスペースなども備えたCIRCLEの内装(同社プレスリリースより)
カフェスペースなども備えたCIRCLEの内装(同社プレスリリースより)

このCIRCLEは、もともとはメルカリが入居していたスペースに開設している。コロナ禍でリモートワークを推し進めていたメルカリがオフィスフロアの一部を解約したが、そこにANRIが入居したかたちだ。

内装やレイアウトは一新し、ミーティングやビデオ通話用のブースなども新設したが、一部のブースや椅子などは、もともと入居していたメルカリのものを引き継いだ。多くのスタートアップが入居できるよう席数も確保するが、それ以上に重視したのはコミュニケーションの場だという。

仕事って、タスクが決まってからは個人でもできます。でもまだタスクが決まっていなかったり、そもそも何をするかも決まってないくらいの(創業から間もない、若い)チームだけを集めてるので、会話のスペースを多めにしています。自分たち(ANRIメンバー)のオフィススペースとの間にも、壁を作りませんでした。(佐俣氏)

また、投資先スタートアップに限らず、ANRIが接点を持つスタートアップの入居や、メンターとして起業家・スタートアップ支援者の招致も進めて、オフィス内でのリアルイベントなども計画しているという。

ANRIはこれまでにも渋谷に「Good Morning Building by anri(GMB)」、本郷に「Nest Hongo」という名称でそれぞれインキュベーション施設を運営してきた。これらの機能をCIRCLEに集約し、リアルでのコミュニケーションを強化している。ちなみにANRIのメンバーは、「基本出社」をルールとしている。

投資家が(投資先の成長を人事や広報などで支援する、いわゆる「グロースチーム」のように)いろんな機能を強化するのはすてきですが、僕はそこに情熱がありません。むしろスタートアップの方が先に進化することもあります。

ならばこの場所を大きくしていくことにこそ意味があると思います。創業期の不確実性が高いところを、心穏やかに挑戦してもらうことが大事です。起業は心が折れることもあります。そんなときに同期や仲間がいるのは強いと思っています。(佐俣氏)

3000万円出資、インキュベーションオフィス入居の投資プログラムも実施

またCIRCLEの開設に合わせて、ANRIはプログラム形式でのスタートアップ投資も実施する。プログラム名は「ANRI VORTEX」。第1期として、最大5社のスタートアップを採択する予定で、採択企業には(1)3000万円の出資(条件はJ-KISS、ポストバリュエーションキャップ3億円、ディスカウント無し)、(2)CIRCLEへの入居、(3)他の投資先企業とのネットワーキング、(4)ANRIのベンチャーキャピタリストによる支援──の4点が提供される。

応募対象の事業領域は不問。構想段階もしくはシード期、エクイティ調達未実施(エンジェル投資は可、エクイティ調達済みの場合は応相談)のスタートアップを対象とするが、学生の応募も可としている。書類応募は3月17日まで、特設サイトから応募できる。