諸岡氏の話では、実際にほとんどの顧客において「(プロダクトが)簡単に使えること」と「カスタマーサクセスのプログラムが充実していること」が導入の決め手になっている。“現場のDXの一歩目”としてカミナシを使い始める顧客も増えているという。

食品工場での利用イメージ
食品工場での利用イメージ

カギは“ノーコード”、現場担当者が自らの手でアプリを製作

カミナシの特徴の1つが、プログラミングの知識がなくても、簡単なマウスの操作(ドラッグ&ドロップ)でアプリを作れるノーコード型のサービスであることだ。あらかじめ用意された雛形なども活用しながら、現場の担当者が自分の手でアプリを作る。

「たとえばセブン‐イレブンと製造メーカーとの取り組みでは139工場でカミナシが活用されていますが、各工場で使っている機械やチェックしたい項目は異なります。場合によっては、同じ会社のA工場とB工場でも内容が違ったりする。だからこそ、その現場を熟知している人たちが、自らの手で最適なものを作れる点を評価いただいています。やっぱり現場ごとで、皆さんのこだわりがありますから」(諸岡氏)

カミナシでは現場の担当者が自身でアプリを作る
カミナシ上でアプリを作っている様子

ポイントは現場主導であることと、簡単に作り直せることだ。基本的にアプリを作るのは本社のIT担当者などではなく、現場のスタッフ。一度作ったものを後から簡単に改良できるため「一緒に働く作業員やパートの方からもらったフィードバックを踏まえて10分程度で修正し、改良版が使えるようになる」(諸岡氏)といった使い方がされている。

自分たちで“スクラップアンドビルド”を繰り返しながら作ったアプリだからこそ、定着しやすい。チャーンレート(解約率)は直近1年平均で0.39%。中には数百種類のテンプレートを自作して運用する企業もいるそうだ。

「A工場でうまくいった雛形をコピーして、B工場やC工場に横展開することもできます。実際にセブン‐イレブンと製造メーカーとの取り組みでも、そのようなかたちで広がったんです」(諸岡氏)

1日2時間の確認作業が5分程度に削減

カミナシを導入した現場では主に「作業品質の向上」「管理業務の削減」「レポート作成業務の自動化」という3つの点で変化が生じることが多い。

例えばカミナシではデータを入力する際に間違った値を入れると「アラートが出る」ように設計できる。従来は管理者が目視で確認して口頭で注意する必要があったが、カミナシを使えばアプリが365日24時間“その都度”自動でガイドしてくれるようになるので、ミスが発生しづらくなる。

間違った値が入力された場合にはシステム上でアラートが表示される
間違った値が入力された場合にはシステム上でアラートが出る

ある現場では大小合わせて月間で120件程度起こっていたミスが2件まで減った。リアルタイムに作業内容が確認できるようになることから、食品事故などを未然に防ぐような効果も出ているそうだ。