合わせて同社では複数の金融機関から融資などによって約27.8億円を調達しており、調達額の合計は約54.1億円となる。以下は今回出資した投資家陣。
- SBIインベストメント
- グローバル・ブレイン
- KDDI Open Innovation Fund 3号
- 三井不動産
- HERO Impact Capital
- SMBCベンチャーキャピタル
- 静岡キャピタル
- DEEPCORE
- THE SEED
- MIXI 創業者 笠原 健治氏
- 他1社
ロボット好きのエンジニア、フリーランスを経て高校3年生で起業
New Innovationsの創業者である中尾氏は、生粋のエンジニアだ。
幼少期からものづくりに関心があり、自宅の炊飯器やテレビなどを「分解しては元に戻す」ことを繰り返していたという。小学生になってからは本格的にロボット開発にのめりこみ、4年生でロボット競技の大会「ロボカップジュニア」に出場。中学生時代には日本代表に2度選出され、世界大会での入賞経験を持つ。
ロボット開発には資金が必要になるため、高校入学後はフリーランスエンジニアとしての活動を始める。コンピュータウイルスの駆除やシステムのメンテナンスといったウェブ関連の受託案件を請け、高校3年間で取引先の数は300社ほどにまで広がった。
さまざまな案件に携わる中で少しずつ起業を考えるようになった中尾氏は、さまざまな経営者や先輩起業家に話を聞いて回るようになる。実際に話を聞いた人数は約1000人。最終的には高校卒業を間近に控えた2018年1月、18歳でNew Innovationsを立ち上げている。
明確な事業案が決まっていたわけではなかったため、自身が経験してきたロボット製作とソフトウェア開発の知識を掛け合わせて「人々のリアルな行動を変える」ことをテーマに事業案を検討した。その中で行き着いたのが、コーヒーを対象にしたカフェロボットのroot Cだ。
コーヒーは「1日に複数回飲む」人も珍しくないほど、ビジネスパーソンを筆頭に性別を問わず身近で人気な飲料と言える。一方でその供給方法には改善の余地もあると考えた。
毎朝同じ時間帯に同じカフェに行き、同じようなメニューを注文するために毎回並ぶ人がたくさんいる。美味しいコーヒーが飲みたいけれど、カフェは時間がかかるので、仕方なく自販機やコンビニで済ます場合もあるだろう。
既存のコーヒーの供給方法における「場所や時間、質のアンマッチ」を解消するための仕組みを作れれば、ビジネスチャンスがあるのではないか──。そのような狙いからroot Cを立ち上げ、2019年に実証実験を始めた。
事前注文で待ち時間なし、完全無人のカフェロボット
カフェロボットをうたってはいるが、root Cはロボットがアームを動かして自動でコーヒーを注ぐようなものではなく、受け取り用のロッカーを備えた“巨大な自動販売機”のような見た目だ。