例えば、アジア諸国を中心に電動キックボードシェアのサービス「Beam」を展開するBeam、韓国で「SWING」を展開するSWINGが日本市場に参入しており、「営業先が被ることもある」(岡井氏)そうだが、国内ではLuupのポート数が多いため、不動産としては「Luupにスペースを貸し出した方がいい」ということになる。そのため、今はポート数も拡大しやすく、シェアをどんどん広げていける状態にあるという。「国内では“競合”と言えるようなプレーヤーはいないと言えるほど、シェアを拡大できた」と岡井氏は語る。

また、海外のような“乗り捨てモデル”ではなく、乗った機体はポートに戻すモデルのため機体の充電などのオペレーションも組みやすく、利益が生み出しやすいモデルになっているとのこと。「この2年間で利益が出そうなフェーズまで持ってこれた」と岡井氏は言う。

求められる安全性の向上、ソフトウェア、ハードウェアの両面で対応

地方自治体や不動産と連携し、この2年でポート数を3000カ所まで拡大してきたLuup。改正道路交通法が施行された後は、さらなる需要の増加が見込まれる。今後、サービスを提供していくにあたって、重要となるのが「安全性の向上」だ。

利用者を増やしつつあるLuupだが、2022年9月には会社役員の男性が電動キックボードを運転中に転倒し、死亡する事件が発生した。

Luupとしては、サービスを利用する前に安全講習会や交通ルールテストの実施、アプリで表示させる注意喚起画面のアップデートなど、さまざまなかたちで安全への取り組みを実施しているが、「改正道路交通法の施行後は今まで以上に安全性の向上が求められるようになっていく」と岡井氏は語る。

「安全性向上の対策として、これまでにも利用者に対して免許証の事前登録、交通ルールテストの合格を求めてきましたが、今後はこの内容をアップデートし、より利用者が分かりやすいものにしていきます。また、機体に関しては最高速度表示灯を搭載しました。20キロで走っている状態のときは緑色に光ったままですが、低速モードに切り替わった際は灯が点滅するようになっています。この最高速度表示灯を搭載することで、機体が歩道に入った際に低速モードに切り替わっているかどうかが分かりやすくなります。これに限らず、ソフトウェア、ハードウェアの両面で安全性の向上は引き続き注力していきます」(岡井氏)

最高速度表示灯はハンドルの横に搭載される
最高速度表示灯はハンドルの横に搭載される

また、利用者だけでなくLuupの利用者ではない人への“啓蒙活動”にも力を入れていくという。道路交通法が改正されるタイミングでもあるため、Luupは各地域の自治体や警察と連携し、電動キックボードの安全性などに関した啓蒙活動を積極的に行っていく。