日本でも昨年から大きな注目を集めている生成AIについては「ChatGPTなどがこんなに早いタイミングで広がるとは予想していなかった」というが、投資のスタンスとしては1号ファンドから変わらず継続していく方針。もともとAIに特化して投資活動やスタートアップへの支援をしてきたことから、これまでの知見が活きる分野でもある。

「生成AI自体はChatGPTなどが注目を集める前から、投資をしてきた領域です。2号ファンドで特化するといったことはありませんが、今まで通り積極的に投資をしていきたいという考えです」(仁木氏)

一方で生成AIの進化に危機感もあるという。

「少し逆説的な話になりますが、生成AI自体がものすごく使いやすいかたちに進化してきている状況で、今後さらに使いやすくなると思うんです。そうなると、スタートアップの出る幕がどれくらいあるのか。ビジネスプロセスなどがきっちりしているエンタープライズの方が、先行して生成AIのAPIなどを活用してレバレッジを効かせられる部分も多いのではないかという危惧もあるので、スタートアップにはもっと頑張ってもらいたいです」(仁木氏)

特にLLM(大規模言語モデル)の領域ではグローバルIT企業や多額の資金を集める一部のスタートアップなど海外企業が先行するが、日本発のスタートアップにもビジネスチャンスはあるという。

例えばベクターデータベースや、さまざまな課題の解決手段にLLMを使用するためのアプリケーションなど「LLMの周辺領域とも言うビジネスは今後間違いなく発展してくる」(仁木氏)分野だ。実際に海外では開発者支援や営業支援、カスタマーサポートなどの分野で生成AIを用いたサービスが増えてきている。

ChatGPTや画像生成AIツールなどの登場を1つのきっかけに、急速に広がりつつある生成AI。国内でも日立製作所やANOBAKAなどが生成AIに特化したファンドを組成しており、関連するスタートアップへの投資もさらに増えていきそうだ。