アプリを用いたピッキング作業のイメージ
アプリを用いたピッキング作業のイメージ

ある店舗ではこのシステムを活用し、担当者の数を増やすことなく、出荷できるキャパシティを約1.5倍へ拡大することに成功した。

そもそも紙の記録がベースになっていると、生産性を測ること自体が難しい。業務を改善するための基準となる「データ」が手に入ることは、デジタル化することの利点だ。

このスタッフアプリと同様に「商品在庫マスタ」を半自動で生成する機能も、Stailerの強力な武器となっている。

「手動で運用する場合、現場では『3人の専任スタッフが毎日1万2000点の商品(SKU)が書かれたエクセルのシートを見ながら、3店舗分の販売計画や在庫情報を手動で更新する』といったことが行われています。Stailerでは内部のシステムと繋ぎ込むことで、在庫マスタが半自動で生成されるため、専任のスタッフを雇う必要がない。そのため、他の仕事により多くの時間を使うことができます」(矢本氏)

ネットスーパーでは膨大な数の商品を扱う上に、商品ごとのステータスも冷蔵や常温などバラバラなため、在庫の管理が複雑になる。結果として掲載できる商品数も、実店舗に比べて限定されることが多い。

Stailerでは統合したデータを基に高い精度で在庫を推測するアルゴリズムを開発することで、店舗に近い品揃えの実現を後押ししている。100店舗以上でStailerを活用するライフでは、導入後に商品掲載数が最大で1.5倍に拡大した。

「実際に店舗で扱っている商品の4割〜6割程度しか掲載できていないということもあります。そのような状況だと『店舗に置かれているあの商品がなぜアプリにはないのか』と、クレームにも繋がってしまう。商品数はお客様の満足度やネットスーパー事業の売上にも関わってくる重要な要素です。またアプリ内の売り場の構成も商品マスタの情報を軸に生成されていくので、ネットスーパーのコアとなる売り場を、低コストで作れることも強みになっています」(矢本氏)

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Stailerの提供を始めてから3年。複数の顧客を支援してきた中で、矢本氏たちにとってもさまざまな発見があったという。

例えば「ネットスーパーやネットドラッグストアは店舗の顧客を奪うのではないか」と言われることもあるが、店舗とオンラインの併用によって顧客の利用金額が上昇することもわかってきた。

実際にStailerを活用するある顧客では、店舗のみを利用している消費者と店舗とオンラインを併用している消費者の単月の購買費を比較したところ、併用ユーザーの購買金額が2倍近くになったという。