Stailerは新規でネットスーパーやネットドラッグストアを立ち上げる際だけでなく、既存のシステムから乗り換える際の選択肢としても活用されている。矢本氏によると、この比率はちょうど半分ずつだ。
あえて既存のシステムから移行するのは、Stailerのシステム的な柔軟性の高さからだという。
従来型のネットスーパーの場合、システムの設計が複雑化し、システム変更や開発のスピードが事業面のネックになりうる。ベンダーに新たな機能の開発を依頼する場合、数カ月・数千万円単位の時間とコストがかかってしまうこともある。
ある企業はインボイス制度へのシステム対応に向けて既存のベンダーに見積もりをしたところ、1000万円を超える開発費用がかかると言われた。このケースでは、Stailerであればプラットフォームに共通仕様として同様の機能が開発されるため、追加のコストがかからなかった。
そういった点にメリットを感じ、Stailerへ切り替える顧客もいるという。ネットスーパーの運営に必要な環境を、素早く低コストで手に入れられるのは、Stailerの大きな特徴だ。
赤字のネットスーパー事業を変革するために、システム面から抜本的に見直したい。そういった背景から、新たな基幹システムの候補としてStailerに辿り着く企業も増えてきているという。
また“消費者向けアプリ(ネットスーパーアプリ)”の存在も大きい。「今の時代、お客様の視点では基本的にネット=スマホという世界観になってきている」(矢本氏)中で、10Xでは複数社のパートナーとともにネットスーパーアプリの体験を磨き込んできた。
実は日本には、ネットスーパーアプリに注力して開発してきた事業者はほとんどいない。このアプリ開発の知見が、小売企業がStailer導入を検討するきっかけにもなる。
業務のデジタル化で生産性向上、掲載できる商品数が1.5倍に
Stailerを活用している現場では、どのような変化が生まれているのか。
“生産性の向上”という観点でわかりやすい例が、ネットスーパーにおけるピッキングやパッキング業務の効率化だ。
注文の入った商品を売り場で1つ1つ確認しながら該当するものをピックアップし、注文ごとにパッキングした上で、記録をする。今でもこの一連の作業を“紙”で記録・管理している現場は多い。
Stailerではこの業務を担当するスタッフ向けのアプリを独自で開発。ピッキングのタスクを自動生成する機能などを通じて業務を効率化すると同時に、商品のバーコードをスマートフォンで読み取る仕組みを取り入れることでミスの発生を防ぐ。