クレジットカードを持っていても、「利用限度額が大きく、使いすぎてしまう」ことを心配する人もいる。プリペイドカードであれば、予算が決まっているので、使いすぎるということはない。

八巻氏は、バンドルカードでは上記のような課題を解決することで、若年層を中心に支持を集めていると説明する。15歳から39歳のユーザーによる利用が、全体の8割を占めるという。

アプリからの会員登録は約1分で済む。そしてチャージ手段にはコンビニ、d払い、ビットコイン、ATM、ネット銀行など、さまざまな選択肢が用意されている。また、「ポチっとチャージ」機能を使えば、上限金額(3000~5万円)までをすぐにチャージできる。利用料金は翌月末までにコンビニなどで後払いする。会員登録の簡単さ、チャージ手段の多さが人気の秘けつだ。

コロナ禍で決済金額は月間最高記録を更新

コロナ禍における巣ごもり需要で、バンドルカードの利用、そして専用アプリのダウンロード数は増加した。外出自粛により消費者がオンラインへ移行したことが背景にある。

決済金額は3~6月にかけて月間最高記録を更新。月間のチャージ金額は、2月と比較し7月は約27%伸びた。ダウンロード数も、2月と比較し7月は約20%伸びたという。

「オンラインでの決済ニーズが爆発的に増えたことが背景として挙げられます。ECもそうですし、ゲームを含めたデジタルコンテンツの購入。そしてネット配信ライブなど、今までになかった利用も目立ちました」(八巻氏)

バンドルカード専用アプリのダウンロード数の推移 提供:カンム

調達した資金で「投資分野」の新サービスを開発

カンムでは今後も「個人がさまざまな金融サービスを利用する際の心理的なハードルを下げる」という同社の目標達成を目指す。セブン銀行から調達した資金をもとに、投資分野の新サービスを開発し、12月にリリースする予定だ。

認可などの問題があるため、「新サービスに関しての具体的な内容は非公開」(八巻氏)としたが、投資分野のサービスであることから、メインターゲットはバンドルカードを利用する若年層とは重ならない「ある程度、預金のある層」とだけ説明した。

カンムには新サービスを既存の決済事業と組み合わせ、個人向けの金融プラットフォームを構築することが視野にある。プラットフォームでは、投資・保険・決済など、ユーザーが抱える個別の金融課題に対して、「わかりやすいソリューションを提供する」ことを目指す。プラットフォーム構築ではセブン銀行、そして2018年1月に資本業務提携を締結したフリークアウト・ホールディングスとの連携を活かす。