「でもデリバリーを考えてみるとAmazonの翌日配送では応えられていないニーズがあり、Uber Eatsでは食事以外に対応できていない。そこにはまだチャンスがあると思いました。便利な社会になったからこそ、特に自分のような怠惰な人間は、全部届けて欲しいと思ってしまう。世の中の人が怠惰になるほど、めんどくさいというニーズが大きくなると思うんです」(平塚氏)
ようやく光が見えてきた11月、平塚氏はQuickGetのベータ版をローンチすることを決断。そこから徐々に対象エリアを広げつつ、年末から年明けにかけて自社の倉庫を開設し、少しずつ買い物代行モデルからのシフトを進めていった。
ボタン1つで欲しいものが何でも届く体験の実現へ
年明けからはユーザー数や注文数の伸び率も上がり、そこからは継続して事業を伸ばせている。今回のタイミングで正式ローンチと決めたのも、ある程度手応えをつかめてきた中で成長角度を上げるため。調達した資金を活用して人材採用を進め、事業を加速させていく計画だ。
平塚氏はQuickGetに蓄積された「データ」を今後のポイントに挙げる。どんな人たちが、どんな商品を、どのようなサイクルで購入しているのかがわかってきたので、そのデータを今後の商品設計や店舗拡大にも活かす方針。ゆくゆくはフードデリバリーや買い物代行など周辺領域のビジネスにも参入したいという。
「まずはデジタルコンビニのモデルがビジネスとしてしっかり成立することを証明するのが最初のステップです。でも本当に実現したいのは、欲しいものが何でもすぐに届くドラえもんのような世界。(QuickGetを通じて)既存のサービスではまだ満たせていない、すぐに欲しいというニーズに応えていくことで、今のコンビニのように誰もが使うようなサービスを作っていきたいと考えています」(平塚氏)
既存のコンビニの動きを見ていても、QuickGetのようなプロダクトには大きな可能性があると言えそうだ。約1年前からラストワンマイルの取り組みとしてUber Eatsの導入を始めたローソンでは、先月導入店舗が1000店を超えたことを発表。ライバルのセブイレブンに関しても今後店舗からの宅配事業を加速させるという報道が出ている。
コロナの影響でデリバリーサービスが今まで以上に浸透した状況において、QuickGetがどこまで事業を広げていけるのか。レキピオの挑戦は始まったばかりだ。