エウレカ時代は「ヒットするウェブサービスを作りたい」という思いに突き動かされ、結果的にPairsを開発。今や累計会員数が1000万人を突破するサービスになっている。そんなサービスの立ち上げ経験があったからこそ、なかなかウェブサービスを作るモチベーションが上がらずにいた。

結局、マンションは昼寝をしたり、コーヒーを飲みながら近況を話したりするための場所として使われることになった。

「これまでを振り返ったり、自分の人生を見つめ直して、残りの時間を考えたり。自分たちの心が準備できるまでの時間として、会社のことだけでなく、プライベートのことや、自分のやりたいことを考えるなど、お互いの考えを擦り合わせることができたのは振り返ってみて、すごく良かったなと思います」(赤坂氏)

アパレルブランド「WIND AND SEA」の成功が新事業に生きる

それから数カ月が経ったタイミングで、赤坂氏は数々の人気ショップやブランドのディレクションを手がけてきたスタイリストの熊谷隆志氏と知人の紹介で出会う。

それがきっかけとなり、赤坂氏はストリートファッションブランド「WIND AND SEA(ウィンダンシー)」の経営に2018年6月から関わることになる。具体的にはShopifyを使ってオンライン販売をスタートしたり、旗艦店を東京・駒沢から中目黒に移してリニューアルオープンしたりするなど、ブランドの舵取りを行った。

東京・池尻大橋にあるWIND AND SEAの店舗 画像提供:WIND AND SEA
東京・池尻大橋にあるWIND AND SEAの店舗 画像提供:WIND AND SEA

「当時、『アパレルで絶対成功したい』という強い思いがあったわけでなく、そろそろ自分が興味を持っているものに動き出さないと、いたずらに時間だけが過ぎていってしまう。そんな危機感からWIND AND SEAの経営に関わることにしたんです」(赤坂氏)

10年ほどインターネットビジネスに関わってきた赤坂氏にとって、アパレルブランドの経営は初めてのことだったが、このときの経験が現在のfrankyに生きているという。

「全くバックグラウンドの異なる人たちと一緒に会社をやる経験や、洋服をつくるメーカー側に回ることの楽しさに触れた気がします。僕らのようなインターネット領域にいた人が、色々な業界の人たちと力を合わせることで出来ることがあるんだなと感じました」(赤坂氏)

現在、WIND AND SEAを運営するエリオットはfrankyの100%子会社となっており、赤坂氏は週に1度、会議に参加するといった関わり方をしている。

医療系の事業も断念、僕らにしかできないブランドをつくる

WIND AND SEAをやりながらも、事業テーマを模索する日々は続く。2019年に入った頃には広尾のマンションから離れ、ミクシィのインキュベーションオフィスを間借りし、そこで本腰を入れられる事業テーマは何か、と考え続けた。