「その頃には西川さん以外にもサポートしてくれるメンバーがいて、エンジニア、デザイナー、人事、PM(プロジェクトマネージャー)が関わってくれていました。さすがにそろそろ何か決めないといけないと思い、中国のコーヒーチェーンLuckin Coffee(ラッキンコーヒー)を視察しに上海まで行って事業検討したり、遠隔診療をベースにした医療クリニックを検討したりしていました」(赤坂氏)

どちらの事業もリサーチを重ねていったが、実現に至らず。医療系の事業に関しては話も進んでいたが、最終的には話がなくなり、再び振り出しに戻ることになった。

「いま振り返ってみると、当時から心のどこかに『自分は医療系の事業をやるタイプの人間じゃないな』という思いもあったんです。それで自分の中では踏ん切りがついて、年末年始に『自分がやりたいことをやろう』と決めた結果、浮かんできた考えが『僕らにしかできないブランドをつくる』というものでした」

「デザイン性の高いものをつくって、きちんと流通させて、世の中を美しくする。商品づくりから購入体験、商品との日常までをデザインし、外面だけでなく、機能性や体験=UXもデザインする。そういうブランドをゼロから自分たちでつくり、またまたすでに存在しているけれど埋もれているものを発見して育てていく。その2つが自分のやりたいことだったんです」(赤坂氏)

2021年にかけて複数プロダクトを展開予定

その考えをメンバーに伝えたところ、全員が納得し、2020年1月から本格的にfrankyの事業活動がスタート。やりたい事の実現に向けてアポを入れ、人と会う日々が続いた。

事業の準備を進める過程で、新型コロナウイルスの感染が拡大していった。ただ、赤坂氏によれば緊急事態宣言が発令されるよりも前に、パートナーと組むことができていたため、中国での生産だけはスピードが低下したものの、ほかはほとんど影響がなかったという。

その一方で、世の中は外出が禁止され、飲食店は休業を余儀なくされた。また旅行にも行けなくなり、企業はリモートワークを推奨し、自宅で働くことが当たり前となった。

「こうした生活様式の変化と共に“豊かな暮らしの追求”が加速したと思います。その結果、frankyの事業テーマの中に『豊かな暮らしをサポートする』が加わり、そのテーマの実現に向けて、いろんなブランドやサービスをつくることを決めました」(赤坂氏)

そんなfrankyの第1弾事業となるのがバイオエタノール暖炉の販売だ。もともと、赤坂氏は4年ほど前からEcoSmart Fireのユーザーで、ユーザーとしてとして取材を受けたことをきっかけにメルクマールの社長と親交を深め、買収の話に至ったという。