それが一転、最近になり大手メディアなどでも、「デジタル・ゴールド」というワードを見かけるようになった。
その要因は新型コロナウイルスの感染拡大により、暗号資産の”特定の国家・地域に紐づかない”という特徴に関する価値が見直されたことによるのではないだろうか。
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により私たちの生活は前例がないほど変化した。世界規模でこのような混乱が起こる事は未だかつてない事象ではないかと思う。
2020年2月中旬ごろからコロナウイルスによる実体経済への影響を恐れたリスクオフの動きによって、株式市場は大荒れとなった。その後、3月11日には世界保健機関(以下、WHO)がパンデミック(世界的大流行)を宣言したことで、その動きはより強まり、株価の大暴落が起きた。ビットコインも例外ではなくその動きに連動し、2月中旬には110万円を超えていたが、3月には50万円台まで暴落した。しかし、その後の回復は早く、金と同じような曲線を描いた。詳細は弊社のオウンドメディアでも紹介しているので、ぜひ興味のある人は見てほしい。
また、コロナウイルスの感染拡大の長期化への不安や米中摩擦の激化等により、複数の主要国通貨に対する米ドルの価値を示す「ドル指数」は、2020年7月27日に約2年ぶりの低水準となり、金・ビットコインの価格が急伸した。
これらのマーケットの動きから、投資家にビットコインが金と同様に安全資産として見られており、投機から資産に変化つつあることを意味していると考えられる。
また、この変化は、投資家層を広げることにも一役買っている。米国グレイスケール・インベストメンツが運営するファンドでは、年金基金や富裕層向けに、ビットコインをはじめとする8種類の暗号資産の投資信託を販売している。11月初旬に発表された運用資産総額は、91億ドル(約9400億円)に到達しており、機関投資家の参入も進んでいることが伺える。
ついに大手企業が動いた
次に注目したいのは米大手企業が暗号資産を会社のポートフォリオに組み込み始めたことだ。米IT企業のマイクロストラテジーや米決済サービス大手のスクエアが今年に入り、企業の資産保全の手段としてビットコインを取得した。
マイクロストラテジーが発表したプレスリリースでは、CEOのMichael J. Saylor氏が「コロナウイルスの感染拡大を受け、世界各国での前例のない金融緩和や経済政策等への懸念から、法定通貨をはじめとする従来の資産への影響を懸念した」とコメントしている。