さらにスクエアは、企業がビットコインを購入する際に論点となることをまとめたホワイトペーパーを無料でインターネット上に公開した。
これは、スクエアが単にビットコインを購入すること以上に驚きであった。なぜなら、ホワイトペーパーでは、自社がビットコインを保有した経験を踏まえ、価格・買い方・保管方法・保険・会計・監査等をまとめており、このホワイトペーパーに沿って行えば、他の法人もBTCを購入することが可能になったからだ。
このホワイトペーパーを参考に、今後ビットコインを保有する法人は増えてくると思われる。
また、大手企業の暗号資産業界への参入も話題を集めた。米決済サービス大手のペイパルが暗号資産の売買サービスを開始したのだ。ユーザーはペイパルのアカウントを持っているだけで、ビットコインをはじめとする4種類の暗号資産の売買と保有が可能となり、来年には暗号資産による決済サービスも開始するとしている。
ペイパルは、全世界に3億4000万人のユーザーを抱える巨大サービスだ(2020年11月時点)。暗号資産業界にとって、未だかつてないほどの大手企業の参入ではないだろうか。ペイパルの参入に関するニュースは国内外で大きく報じられ、期待からビットコインの価格は上昇した。
我々コインチェックが暗号資産取引業に参入した2014年、暗号資産は怪しいものとされ、大手企業が暗号資産交換業へ参入することは考えにくかった。逆にそれがチャンスでもあると考えて我々は参入を決意したが、さらに資産として暗号資産を持つような事は想定できなかった。
2018年以降、当社をはじめ仮想通貨取引所がハッキングを受け、暗号資産が盗まれるなど暗号資産業界ではいろいろな事象が発生し、世間の暗号資産に対する風当たりが強い時期は短いものではなかった。しかしながら、ここまで社会的に評価をされるまできたかと思うと非常に感慨深いものがある。
暗号資産は安定的に発展していく段階へ
暗号資産のこれまでを振り返ると、ガートナーのハイプサイクルを思い出さずにはいられない。
2017年の「仮想通貨バブル」は振り返ってみれば、”儲かる”という過度な期待から需要が生まれ、熱狂が熱狂を呼ぶ状態になっていたよう思える。そのような「過度な期待」のピーク期を超え、「幻滅期」「啓蒙活動期」を経て、「生産性の安定期」に入ってきているよう思える。
確かにかつての熱狂はないが、地に足のついた盛り上がりだ。これは、バブル以降、法律や業界の自主規制等が整備され、暗号資産業界全体として顧客保護やセキュリティ・ガバナンス態勢が整ってきていたこともひとつの要因と言えるだろう。