MISAKY.TOKYOの創業は2019年9月の創業。三木氏に和菓子づくりの経験はないが、単身でロサンゼルスに渡米。知識、人脈、資金もない状態からブランドを立ち上げ、創業から1年で累計5万個を販売。価格は5個で40ドル(日本円で約4100円)、8個で64ドル(日本円で約6600円)となっている。
すでに『シュレック』や『マイノリティ・リポート』などを手がけるハリウッドの大手映画会社・ドリームワークス本社やビバリーヒルズの最高級宝石店などをクライアントに持ち、月間の売上は昨対比で20倍に。さらには、TikTokのフォロワー数は13万人を突破し、累計動画再生数は500万回を記録するなど、着実にブランドのファンを増やしている。
なぜ、彼女はゼロの状態からロサンゼルスで和菓子のD2Cブランドの立ち上げることにしたのか。創業から1年でキム氏とのコラボレーションを実現させた三木氏の歩みを聞いた。
アーティストや職人を経済的にも豊かに
三木氏が起業を志したのは7年前。きっかけは“母親”にある。母親は陶器の繊細な造形・絵付を行うアーティストとして数多くの賞を獲得するなど活躍していたが、その一方でビジネス面ではなかなか稼げず、苦戦していた。そんな母親の姿を見た三木氏は「アーティストや伝統工芸の職人が経済的にも豊かになる仕組みをつくりたい」と考えるようになった。
「アーティストや職人さんは素晴らしい作品を創るのですが、なかなかビジネスとして成立させづらい状況にあります。それは彼らの才能をマネジメントする存在がいないからです。例えば、芸能界はマネジメント事務所があり、マネージャーなどが芸能人の才能をマネジメントして、さまざまな仕事を引っ張ってきます」
「アーティストや職人さんの世界に才能をマネジメントする存在がいないのであれば、私たちが才能をマネジメントして仕事を引っ張ってくる存在になればいいのではないか。彼らが補助金や年金など国に頼るのではなく、きちんとしたビジネス仕組みを構築して生活をより良くしたいと思ったんです」(三木氏)
起業に対する強い思いを持っていた三木氏だが、まずは“就職”の道を選ぶ。最初から職人を巻き込む自信がなく、就職していろんな知見を得たいと思ったからだ。
日本酒ベンチャーのリカー・イノベーションで新ブランドの立ち上げを行った後、職人・クリエイターがこだわりの逸品をストーリー(モノ語り)形式で伝えるECサイトを手がける藤巻百貨店で新規事業の立ち上げに従事。アーティストや職人の才能を引き出し、それを価値に変える会社で働き、楽しさも感じたが同時に課題も感じたという。