テレワーク領域では、rakumo(2020年9月28日マザーズ上場)がクラウド・ワークフロー等を提供し、コロナ環境下でも堅調に事業を伸ばした。また、テレワークの加速により、オンライン学習領域も顕著に事業拡大が見えた。その具体例は、習い事のプラットフォーム「ストアカ」を提供するストリートアカデミーである。オンライン・オフラインを含む掲載講座数は、5万講座を越え、累計登録ユーザー数は、50万ユーザーを越えた(2020年11月末現在)。2020年2月以降に解禁したオンライン講座の累計受講者数は3.5万件(2020年11月末現在)を突破し、堅調に事業拡大を進めている。

その他、2020年に特長的な動きを感じたのは、行政向けサービスを提供するスタートアップの盛り上がりである。MICの投資先では、行政のDX課題等の課題解決を担うケイスリーがある。コロナ以前から従業員全員がフルリモートのユニークなスタートアップであるが、行政に存在する様々な課題に対し、テクノロジーを活用した課題解決を志向している。今後、行政向けDXのみならず、行政と連携したSDGs領域での事業展開も志向しており、今後の活躍を期待している。

ブロックチェーン、5Gと全体最適を狙うスタートアップに注目

2021年以降は、3つのポイントでトレンドを見ていきたい。(1)ブロックチェーンを活用したアプリケーション領域の盛り上がり、(2)5G・ローカル5G領域の盛り上がり、(3)社会変化における新たな全体最適を狙える事業領域の出現である。

まず、初めにブロックチェーンを活用したアプリケーション領域の盛り上がりに期待している。ブロックチェーン領域での特許出願数の推移をMICが独自で調査した結果、近年はアプリケーション領域への特許出願が多く見られる結果となった。そのアプリケーションの1つが、セキュリティトークン領域であり、このセキュリティトークンを活用したデジタル証券領域に注目している。この領域では、米国が進んでいるが、アジアではシンガポールが先進的取り組みを進めており、ユニークなスタートアップが出現している。また、このデジタル証券が拡大することによる新たなサービスプロバイダーの出現を期待している。この領域は、今後の日本でも期待される事業領域である。

次に5G・ローカル5G領域の盛り上がりである。この事業領域は、スタートアップが主役になりづらい領域ではあるが、当然のことながら、大企業と伍するスタートアップの出現に期待し、そのようなスタートアップの支援を行っていきたい。積極的なインフラ投資により、新たな通信インフラが出現することで、このインフラを活用するスタートアップやインフラの周辺領域で活躍できるスタートアップの盛り上がりに期待したい。具体的には、多様な通信インフラ(5G、ローカル5G、Wi-Fi、LPWA等)を消費者が円滑に利用できるソリューションを提供するスタートアップの出現に期待し、今後数年でこのようなスタートアップが出現すると予想する。