例えば、YouTubeで一流の講師陣たちが無料予備校を開いている「ただよび」は、お金を取って勉強を教えていた塾のこれまでの収益モデルが変わる可能性が漂っています。またTikTokの「#荒野行動」「#モンスト」などのゲーム系ハッシュタグは、動画の総再生数がどれも数十億回超えていて、ゲーム実況とはまた異なるニーズを感じますし、同じくTikTokのハッシュタグ「#購入品紹介」「#コストコ」などは、一般の方がUPしたパッと見”普通”の動画ばかりなのですが、どれも総再生数が1億回前後の生の声であふれ、これがコマースとくっついたりマイクロな広告として機能したらどうなるんだろうかと考えたりします。

こうした流れの中でも特に気になるのは「動画・ライブ×EC」です。数年前にトライした会社の多くは撤退してしまっており、「国内でこの領域は無理なんじゃないか」という雰囲気が漂っていますが、米国では「Popshop Live」(ライブ×EC)、インドでは「SimSim」(ショート動画×EC)を筆頭に、今このタイミングで勃興し始めています。

もともとテレビショッピングの市場サイズが数千億円超えてる事を加味すると、インターネットになったからといえ「映像を見てモノを購入する」消費行動がゼロになるとは思えません。フォーマットに発明は必要ではあるものの、市場自体は存在していると思いますし、動画・ライブが耕された今はもう一度トライするタイミングとして良いのではないかと思っています。

もう一つは欧米で急増している「Pipe」や「Outfund」「Uncapped」などのレベニューシェア型の融資サービスは興味深く見ています。SaaS企業を筆頭に買い切りモデルから利用ベースでの課金へと切り替わっていく中で、経常的に収益が上げられるようになり業績が読みやすくなりました。

そこに負債でなく将来のレベニューシェアを期待して資金を供給することで、保証なし低金利かつ株式の希薄化なく事業の成長にお金を使えます。言わば、ISA型でプログラミングを教えるLambda Schoolの企業版にニュアンスは近いです。このような企業の収益の上げ方が変わったりSaaSが急増したことで、事業者に新しい形で資金を供給する金融サービスやSaaS管理の「Vendr」など金融限らず周辺サービスが生まれる素地が整いつつあるのかなと思います。