「マーケットが伸び続けているときは何を出してもヒットする。来年以降、VR市場は究極の“黄金時代”になると思っています」(國光氏)

gumiが成功しきれなかった「3つの要因」

VRに全振りして、世界で勝ち切る──今回の代表取締役CEO就任に際し、國光氏はこのように語っているが、本当に勝ち切れるのか。gumi時代、國光氏はSNSを通して「時価総額8兆円は見えた」と言っていたが、2014年12月、東証一部に上場した直後、業績を大幅に下方修正したことで株価が急落する、いわゆる“gumiショック”が起きるなど波紋を呼んだ。

“スモールIPO”と揶揄されるなど、gumiが想像通りには成功しきれなかったことについて、國光氏は「世界まで届かなかった理由は3つある」と話す。

1つ目が「スマートフォンへの移行」の遅れだ。gumiは2007年に創業し、ソーシャルゲームの開発に取り組んでいたが、日本はガラケー(フィーチャーフォン)のマーケットが大きく、そこでソーシャルゲームがヒットしていたため、ネイティブアプリのゲーム開発に乗り遅れてしまった。gumiが同社初のスマートフォン向け本格RPGゲーム「ブレイブフロンティア」をリリースしたのは2013年7月のことだ。

「スマホシフトに遅れたのは痛恨のミス」と國光氏は過去を振り返る。また、スマホシフトに遅れたことでAppleやGoogleといったプラットフォーマーとの距離感を詰めきれず、結果的に海外勢から遅れをとるかたちになってしまった。

「そのほか、人材も含めてグローバルで勝てる組織体制になっていませんでした。gumiを立ち上げたばかりの頃は僕たちにも実績がなく、今のように資金調達の環境も整っていなかったので、なかなか優秀な人を採用できずにいました。当時、採用候補者に『年収が半分になってしまうけど』と言っていたのですが、さすがにその条件では採用できません」

「また、日本で成功してからグローバルに打って出るスタートアップは多いと思いますが、それではなかなか優秀な人材を集めにくい。任天堂のように世界中の人が知っているブランドがあれば優秀な人を集めやすいと思いますけど、gumiは誰も知らないじゃないですか。一方で、日本で成功してからだと組織も日本っぽいので、世界中から優秀な人を採用するハードルが上がってしまいます。最初からグローバルを前提にした組織づくりをすべきだったのですが、gumiではそれができていませんでした」(國光氏)