特徴は「はやい、やすい、うまい」金融インフラ

このどちらのパターンにせよ、金融サービスを新たに開発するに当たって事業者のネックになるのがインフラ、つまり基幹システムだ。

これまで主流となってきたパッケージ型の基幹システムを用いる場合、数十億円規模の初期費用がかかることも珍しくないほか、開発に膨大な時間を要する。運用面の負担も大きくかかってくるほか、ライセンスを1から取得する場合には、並行してその壁も超えなければならない。

Finatextが取り組んでいるのは、まさにこの基幹システムの変革だ。

「自分たちの挑戦を一言で説明すると、(顧客の目線で)『おそい、たかい、まずい』基幹システムを『はやい、やすい、うまい』 に変えていくということです」(林氏)

Finatextではクラウド型の次世代金融インフラサービスの開発に力を入れている。現在は証券と保険領域でサービスを展開
Finatextではクラウド型の次世代金融インフラサービスを手がける。現在は証券と保険領域でサービスを展開

Finatextでは2018年に最初の領域として証券のインフラサービス「BaaS(Brokerage as a Service)」を立ち上げた。ポイントは、証券サービスの開発に必要なインフラを汎用的なSaaSとして提供していること。独自開発時に比べて初期投資額を80〜90%削減し、企画からサービス開始までの期間も半分以下に短縮できる仕組みを作った。

2020年には2つ目の領域として保険インフラの「Inspire」を開発。同サービスはすでにあいおいニッセイ同和損害保険やエポス少額短期保険といったパートナー企業に活用されている。

金融インフラ事業の収益源は初期導入収益、月額固定収益、従量課金収益の3つだ。初期コストを抑えることができるのは、月額の利用料と従量課金を組み合わせた“サービス”として提供するモデルを取っていることも1つの理由だ。

また初期費用の安さや短い導入期間に加えて、林氏は「うまさ」が同社の強みになるという。

「うまさとは、使いやすさのこと。もちろんUI・UXの質などもそうですが、特にコネクティビティが重要になると考えています。他のサービスと接続したい、既存サービスに金融機能を組み込みたいといったニーズは今後さらに増えていくはずです。実際に金融機関がこぞってスーパーアプリを作ろうとしていますが、その際に複数のサービスがなめらかに接続されたシームレスなユーザー体験を実現できなければ、単なるリンク集になってしまいかねない。(APIによって外部サービスと柔軟に連携できるようにすることで)うまいという要素も提供できれば、それが顧客から選ばれる大きな理由になります」(林氏)

BaaS上で稼働している3つのサービス
FinatextのBaaS上で稼働している3つのサービス

上場を経て大手の金融機関や事業会社への導入加速へ

Finatextのビジネスは金融インフラ事業に「フィンテックソリューション」と「ビッグデータ解析」を加えた、3つのセグメントから構成されている。