アソビューはフィデリティ・インターナショナルおよび三井不動産「31VENTURES – グローバル・ブレイン グロース– I 事業」より、総額30億円を調達した。今回の資金調達はシリーズEラウンドの位置付けで、累計調達額は55億円になる。

この資金はプロダクトへの投資に用いる計画。アソビュー !の認知拡大に加えて、この1年で大きく成長したSaaS事業の強化を進めていくという。

SaaS事業の成長で、予約プラットフォームとの“二刀流”に

もともとアソビューはC(コンシューマ)向けのレジャーやアクティビティのマッチングプラットフォームからスタートした会社だ。近年は体験ギフト「アソビュー!ギフト」や上述したそとあそびのグループ化なども通じて、事業の幅を広げてきた。

C向けの事業は社会情勢や政府の方針の影響を大きく受けるものの、9月に緊急事態宣言が解除されてからは再び拡大中。特に11月はいわゆる「リベンジ消費」が増え、GoToトラベルの影響で活況だった昨年同月と比べても流通総額(GMV)は1.7〜1.8倍に成長しているという。

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その一方で同社は観光レジャー産業向けのバーティカルSaaSを展開する会社としての顔も持つ。

B(法人)向けの主軸サービスは、チケットの電子化を支援する「ウラカタチケット」と予約管理をデジタル化する「ウラカタ予約」の2つだ。前者はエンタープライズ、後者は中小規模の体験施設が主な顧客。チケットの販売や施設の予約を効率化するとともに、入場管理や顧客管理機能によって顧客の施設運営をサポートする。

両サービスを合わせたSaaSの導入企業数は現在2600社を突破。コロナ前の2019年12月と比較して、3倍以上に拡大した。山野氏が「一刀流から二刀流になった感覚」と話すように、この1年で特にSaaS事業が次の柱として育ってきたかたちだ。

2021年7月〜2021年12月の半年間におけるGMV(C向けメディア、B向けSaaS双方含む)は約200億円になる見込みだという。

「SaaSを契約している顧客の90%以上にはアソビュー !も活用していただけています。つまりSaaSの売上に加えて、メディアの売上というアップサイドのポテンシャルもあるのが強みです。特にこの1年でSaaSの事業基盤を確立できたことで、良い収益構造が作れてきています。一方で(メディア)全体の契約施設は約9000施設あるため、SaaSの導入には至っていない顧客も多い。その観点でもまだまだ事業を拡大できる余地があると考えています」(山野氏)