激増するインバウンドと円安を追い風に、ホテル業界は活況を呈している。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだオフィス市況も、堅調に回復しつつある。特集『総予測2024』の本稿では、森トラストの伊達美和子代表取締役社長に2024年のオフィス、ホテルを含めた不動産業界の行方を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
ホテルは1年通して好調
オフィス回帰で空室率は改善
――オフィスやホテル分野について、2024年の業界展望は。
ホテル事業について、インバウンドの人数とインバウンドによる収入のいずれも新型コロナウイルスが感染拡大する前の水準を超えました。中国からの観光客が完全復活していない中で、欧米からのインバウンドが支えとなりました。
ボトルネックだった航空各社の国際便はコロナ前の8割まで回復しました。これが100%まで戻れば、ホテル業界には非常に追い風で、24年は1年を通して好調となるのではないでしょうか。
オフィス事業は、23年秋ごろから空室率が改善している状況です。足元ではオフィスの移転や拡張といった相談も増えています。コロナ禍を経て、社員同士のコミュニケーションの意義が改めて見直された結果、オフィス回帰の動きが活発化しました。こうした動きは、24年のオフィス市況にはポジティブに働くと思います。
次ページでは、激化するテナント獲得競争について、伊達社長がその戦略を明かす。また、折からの資材高が森トラストのプロジェクトに与える影響や、為替の動向が左右しかねないホテルやオフィス市況の行方を語った。