経営者の「本音メール」で売り上げ3万ドル増、コロナで変わるD2Cブランド戦略Andieがユーザーに配信したメール 提供:宮武徹郎
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 スキンケアD2CのBambu Earthは、他のリテール企業と同様に売り上げが大幅に下がっていた。EC企業の成長支援を行うCommon Thread Collectiveが実施した調査によると、3月1日から10日の売り上げと3月11日以降を比較すると、1日の売り上げは25%ほど下がっている状況だった。  そこで創業者のAmber Hawthorne氏はユーザーに1本のビデオレターを送った。その中でHawthorne氏は「まだ発送はしているが、いつまで発送できるかは分からない」「爆買いは勧めないが、生活必需品を切らしてほしくはない」と説明。Common Thread CollectiveによるとBambu Earthはこのメール1通で約3万4千ドル(約360万円)の売り上げを達成した。

 女性向けセルフケアD2C・Blumeが配信したメールでは、同社のプロダクトについては触れられていない。コミュニティをBlumeに近づけるためのメッセージではなく、人が人と繋がるよう、サポートし合うように仕向けている内容になっている。そして他社のものと比較し短くシンプルなため、目立つ。

主役は「プロダクト」から「人」へ

 コロナ影響下で上手くメッセージを配信しているブランドに共通しているのは、主役が「プロダクト」ではなく「人」である点だ。親しい友人と接するような言葉遣いで、顧客と助け合い、会話をする。コロナに関する情報を共有するブランドもあれば楽しい動画を送るブランドもあるが、この時期に積極的に「売る」ことに注力すればユーザーは離脱していくだろう。

 そしてユーザーの行動が変化をしているからこそローンチしたブランドもある。元Glossier・COOのHenry Davis氏は新たにArfa社を立ち上げ、3月17日に制汗剤ブランドの「Hiki」をリリースした。だがコロナの影響から、初期戦略を変更するに至った。Arfaは全商品を無償化し医療機関関係者に渡すと宣言したのだ。Davis氏はこの初期投資がブランド認知に繋がると踏んでいるのだ。

 D2Cブランドとしてこの激動の時代を乗り越えるには、ユーザーの心境や行動変化を理解し、より「人間らしい」戦略で動くことが求められている。