社会に出て変化した友人への「焦り」
実は私は、大学を卒業したあと2年間、就職していませんでした。というのも、大学生の頃に数千万円のお金を持っていたからなんです。その当時は、人生で一番お金があった時期ですね(笑)。当時、米国に「The Strokes」というヤバいくらいかっこいいバンドがいたんです。彼らは古着好きだったんですが、彼らが着る古着は、当時の日本だと売っていないようなブランドが多くて。あるとき、アパレルに詳しい友人に「彼らの着ている服のブランドは分かる?」と聞いたんですが、「7割は分かる」という答えがありました。そこでひらめいた私は、すぐにeBayなどを使って彼らの着ているような古着を取り寄せて、日本で販売することにしたんです。
古着の販売は好調だったのですが、2年ほどやって、突然ビジネスができなくなってしまいました。当然ですが古着なんてストックに限界があって、仕入れ自体ができなくなったんです。それで友人3人で組んだチームを解散して、1人1000万円くらいのお金を分けました。その半分を「何事も経験だ」と思ってFXに投資したところ、それが2000万円ほどに増えたんです。それでまた、未踏の地をなくす旅に出ました。
旅を始めて2年ほどして日本に戻ってきたんですが、そこで「焦り」を感じました。学生時代に一緒に遊んでいた友人が大きく二分されていたんです。一方はやれキャバクラだ、女だ、とくだらない話しかしなくなってしまった友人。もう一方は、それこそ大学時代には地味だったのに、志高く仕事について語る友人。人は社会に出るとこんなに変化するのかと思いました。
それで私も就職を志したんです。年収で数千万円を目指ざせる自信はあったんですが、どうしたらいいか? と周囲に相談していたら、「お前みたいなやつは一度鼻っ柱を折られた方がいい」と、コンサルを薦められました。4社ほど受けて無事就職できたのですが、初日から文字通りに“激詰め”され、ボコボコにへこまされました。それでも5年ほど務めて、仕事にもそれなりに自信が付いてきたのが28歳。そこでいよいよ起業しようと会社を離れました。
二度の起業、個人で800万円の負債を負うことに
テーマに選んだのはECでした。当時、「ソーシャルコマース」というのがバズワードになっていましたが、私たちもそれに乗ったサービスでした。言ってみればZOZOの「WEAR」とフリマアプリの「メルカリ」を足し算したようなサービス。街角でストリートスナップを撮影して、その人が売っていいと思った商品をオンライン上に公開するというもの。立ち上げてみると、PVは右肩上がりだけど売り上げが上がらない。それはそうです、当たり前ですが商品は全部「一点モノ」です。結局、私は会社を離れることになりました。