「あくまでAIは胃がんの確率を出すだけで、確定診断を下さない。診断するのはあくまでも医師なのです。だからこそ、僕自身が欲しいと思って作りました。発売されれば世界中で売れるプロダクトになるでしょうし、究極的にはガンの見逃しをゼロにできないかと思っています」

 また内視鏡検査は医療でも日本が機器シェア、知見ともに先行している分野。AIが実用化されれば、世界中のニーズを解決できる可能性もあると期待を寄せる。製品化のイメージとしては、既存の内視鏡にAIを組み込むことで、モニター上にガンの可能性がある部位を表示するというもの。海外に向けてクラウドサービスを提供する計画もある。「既存の内視鏡を操作することになるので、医師が新たな機器の操作方法を覚える必要もないし、業務フローを変える必要もない」(多田氏)のも強みだ。

 ただし医療機器としての認証を受けるには、数年時間がかかると見込む。AIメディカルサービスでは、来年度から治験を開始する予定だ。将来的には数十万円程度でのプロダクト提供を計画している。また、当初は胃がんの診断支援のみを提供するが、将来的には対応する部位や難度も広げていく予定だという。

「内視鏡は日本が世界をリードしている唯一といっていい医療の領域。類似製品はまだないので、発売されれば世界中で売れるプロダクトだと思う。今後は早期の上場も視野に入れて、世界を目指します」