家電製品には「サブスクよりレンタル」が最適な理由レンティオの倉庫の様子 Photo by K.H.

 実際に、お掃除ロボット「ルンバ」に関しては、メーカーである米アイロボット社と組んで、月額3800円でのレンタルを実施している。試してみて、気に入ったら、残額を支払えば購入が可能だ。

「支払い総額としてはAmazonで買った場合の1.2倍くらいになるのですが、すでに2000台ほど売れています。イニシャルコストがかからず、試してみてから購入できる点が良いのだと思います」(三輪氏)

メルカリが作り上げた「買って、すぐ売る」文化

 レンティオは、2015年に創業した。三輪氏は、もともと楽天でリテールやレンタル事業に携わった後、家電のネット通販を運営する会社に転職した。そこで、消費者のニーズに接するうち、家電レンタルの可能性を強く感じたという。

「私自身、子どもが生まれたときに張り切ってカメラを購入したのですが、2ヵ月で使わなくなってしまいました。その時、実際に使ってみないと本当に必要かわからないこともあるし、自分と同じような経験をしている人はたくさんいるだろうと感じました」(三輪氏)

 しかし、いざ事業化に乗り出そうとしても、メーカー側は製品の売り上げを大事にするため、購入に結び付かないレンタル事業には及び腰だった。また、あるメーカーからは、「三輪くん、家電は車や時計と一緒で嗜好品なんだよ」と言われて断られたことがあった。わずか5年前のことだ。家電はレンタルで使うような商品ではない、というのが周囲の見方だった。

 しかし、風向きは徐々に追い風へと変わっていった。

「私たちのサービスがヒットしたのは、当社に出資してくれているメルカリの影響が大きい」と三輪氏は言う。

 この数年で、段々と消費者の指向がモノ消費からコト消費に移ってきた。そして、メルカリの誕生によって、“普通の人がモノを発送する”という文化が根付いたというのだ。

 今も「レンタルが増えたら製品が売れなくなる」と危惧するメーカーは多いが、三輪氏はその可能性を否定する。

「メルカリが変えた『買ってすぐ売る』文化の上では、間違いなくレンタル市場は伸びていく。モノをシェアしたり再利用することは、これからさらに活発化していくはずです。結果として、ユーザーの消費すること自体のハードルもどんどん下がっていき、消費は増えていくと思います」と、三輪氏は今後のさらなる市場拡大に自信を深めている。