規制のサンドボックス制度を利用して走行実証を実現
安全面に十分配慮しつつ、現行の法制度をより適切なサービス運営が可能な内容に改める方法を模索するのが、今回の実証実験だ。実験には2018年に始まった「新技術等実証制度(規制のサンドボックス制度)」を活用する。これは、現行法によって新技術の実用化やビジネスが困難な場合に、事業者が規制官庁からの認定のもとで実証実験を行うことで、法律を見直し、規制の緩和や解消などを検討するための制度だ。「特区民泊」で知られる「戦略特区制度」では自治体からの申請が必要だが、この制度は事業者からの申請で実施できるのが特徴だ。
今回、規制のサンドボックス制度への認定が発表されたのは、mobby ride(モビーライド)、Luup(ループ)、glafit(グラフィット)の3社。モビリティ分野における認定は、今回が初めてだ。3社は17日に合同で認定発表についての説明会を開催し、認定に至った経緯と実証実験の概要を説明した。
各社はそれぞれ別々に制度への申請を進めていたが、事業分野が近いため経済産業省が合同で議論を交わす機会を用意。これがきっかけとなって、3社合同での説明会が開催された。実証実験は各社ごとに進めるが、それぞれが得たデータを持ち寄って協議する可能性は十分にあるという。これまでも各社は自治体と連携して実証を進めてきたが、今後はより法制度の改正を視野に入れた活動となるという。
車両区分の新設も視野に入れる
mobby rideはオンライン決済サービスを手がけるAnyPayから新規事業から独立した企業で、電動キックボードのシェアサービス「mobby」を運営する。これまでは福岡市・神戸市と連携して実証を進めてきた。規制のサンドボックス制度のもとでは、九州大学伊都キャンパス内でシェアリングの実証を実施。サイズの異なる電動キックボード2種を使用し、最高時速18km以下に設定した上で、安全性などを分析する。
Luupは二輪電動キックボードや高齢者向け四輪電動キックボード、シニアカーなどを扱うシェアリング事業「LUUP」を運営。これまで9つの自治体で実証を行なっており、規制のサンドボックス制度のもとでは、横浜国立大学キャンパス内の一部区域で二輪電動キックボードと高齢者向け四輪電動キックボードのシェアリング実証を実施する。代表取締役社長の岡井大輝氏は、今年5月に国内の主要な電動キックボード事業者をメンバーとするマイクロモビリティ推進協議会を立ち上げ、会長に就任している。