文字盤のデザインは現在4種類で、本体の色やサイズ、ストラップの違いにより、男女別に数十種類が販売されている。いずれもユニセックスデザインで、都会で働く男女になじむような雰囲気がある。

 デザインは “自然”や“デンマーク人の価値観”がテーマになっており、例えば、もっともシンプルさが際立つ「Native」は、デンマーク人が幸せなライフスタイルを送るために不可欠な「バランス」を意識してデザインされている。簡単にストラップを交換できるのも特徴で、3本のストラップが付属するセットアイテムも多数扱う。

環境保護と社会貢献、サステナブルな2つの取り組み

 同社を語るにあたり、もう一つ欠かせないのが「サステナブル」をキーワードにした企業方針だ。パッケージは、再生可能プラスチックボトルから作られており、2年ほどの年月により自然環境で生分解される。時計を止めるために使われているバンドは一般的な素材だが、今後はこの原材料も見直して、環境保護を加速させたいと意気込む。

 時計の購入代金の一部を慈善事業へ寄付できる仕組みも、日本人から支持される要因かもしれない。顧客はアイテムを購入するごとに、Nordgreenが提携する3つのプログラムから、もっとも共感できる1つを選ぶことができる。

「現在は、中央アフリカ共和国の1人に2カ月分の安全な水を供給する『Water for Good』、インドの1人の子どもに1カ月分の教育を支援する『Pratham UK』、南米にある50平方メートルの熱帯雨林を保護する『Cool Earth』の3つと提携しています。この時計が“どう困っている人々の役に立っているのか”を意識していただきながら、“一緒に持続可能な世界を作っていきましょう”とのメッセージを伝えています」(パスカー氏)

創業時にクラウドファンディングを利用したワケ

 バジリ氏とパスカー氏は共に28歳。大学時代に出会い意気投合した2人は、「近いうちに一緒に起業しよう」と約束を交わした後、それぞれ国外の大学院へ進学し経営を学んだ。卒業後、バジリ氏は投資事業などを行うインキュベーター企業へ、パスカー氏はコンサルタント企業へ就職し、起業のベースとなるスキルを得た後、2017年6月に創業にいたった。

日本製のクオーツが使用されており、文字盤の裏には「JAPANESE MOVEMENT」の文字が見える 画像提供:Nordgreen日本製のクオーツが使用されており、文字盤の裏には「JAPANESE MOVEMENT」の文字が見える 写真提供:Nordgreen

「事業アイデアはさまざまありましたが、私たちが共通して思い入れのあるアイテムが腕時計でした。2人とも就職して初めてもらったボーナスで購入したのが、憧れのブランド腕時計だったのです。加えて、市場調査をするうちに世界的な北欧の時計ブランドが少ないことがわかり、ここに勝機があるのではないかと考えました」(バジリ氏)