保湿とマッサージで元気な爪に

 加齢、乾燥、栄養不足によって起こる爪の変化や、ミドル世代に起こりやすい症状の原因について分かりましたが、どのような予防や対策法があるのでしょうか。

「健康な爪にするためには、栄養のある食事を取ることが大切です。爪は、「ケラチン」というタンパク質からできています。まずはこのタンパク質をしっかりと摂取しましょう。しかし、タンパク質だけを摂取していても丈夫な爪にすることはできません。それ以外にも鉄、ビタミンA、ビタミンB、カルシウム、亜鉛といった栄養素をバランス良く取るようにしましょう」

 食事で内側からケアすることも重要ですが、外側からケアすることも大切です。まずは保湿です。女性は爪の保湿を意識している方が多くい流と思いますが、男性は少ないのではないでしょうか。

「爪の乾燥を防ぐために専用のネイルオイルも売られていますが、毎日保湿することができれば、顔用の乳液やオイルで十分です。爪の根元に一滴ずつ垂らして塗るのがおすすめです」

 次に気をつけたいのが、爪切り。爪が長すぎると割れやすくなったり、はがれやすくなったりします。反対に、短すぎるとダイレクトに隙間にゴミなどが入りやすくなったり、物に当たりやすくなります。深爪は雑菌が入りやすいので危険です。

「爪を短くするときは、爪切りを使うのではなく、爪やすりを使いましょう。爪やすりは1週間に1回行い、個人の好みもありますが、爪先を1mm残しているのが理想の状態です」

 爪は3層構造になっていて、切れ味のいい爪切りだときれいにスパッと切れますが、刃先が鈍い爪切りでは層の先の部分がバリバリと割れたような状態で切れてしまいます。爪やすりを使った方が爪の層を傷めることがありません。

「最後におおすすめするのが、マッサージ。指先の血流は特殊です。血液の循環は、動脈→毛細血管→静脈で行われますが、指先ではこの流れがありません。毛細血管を介さず、直接動脈と静脈が交わる『動静脈吻合(ふんごう)』という血管があり、体温調節の役割をしています。動静脈吻合は、暑いときは拡張して血流を増やすことで体の熱を外に放出しますが、寒いときは収縮して血流量を絞り、体幹の熱が外に逃げるのを防ぎます。血流量の減った手足は冷えてしまうので、指先のマッサージをするのも爪の健康には良いでしょう」

 指先の血流が良くなれば、爪に栄養が届きやすくなります。寒い季節は、お湯に指を付けて血行を良くしてからマッサージをし、最後に保湿を行うのもおすすめです。指先のマッサージを習慣付けると、爪を見たり触ったりする機会が増えるため、爪の変化も感じ取りやすくなるでしょう。爪を気にする良いきっかけにもつながります。