レバノンで殺害されたイスラム組織ハマスの幹部は、イランやその代理勢力との連携に貢献した立役者だった。殺害はイスラエルによるものとみられ、ハマス首脳部にとって過去数年で最大の打撃となった。2日夜にベイルート郊外で起きたサレハ・アルーリ氏の殺害は、イランのような重要パートナーに対するハマスの外交を妨げる公算が大きい。ただガザ地区におけるイスラエルとハマスの戦争には大きな影響はないと軍事アナリストはみている。宗教心の厚い強硬派であるアルーリ氏は、昨年10月7日のイスラエルに対する攻撃を指揮し、ハマス内で高い評価を得た。イスラエル当局によれば、この攻撃で約1200人が死亡し、その大半が民間人だった。アルーリ氏は、ガザ地区での戦闘の一時停止と引き換えに人質の一部を解放することを巡り、カタールやエジプトを仲介役としてイスラエルと交渉した際にも主導的な役割を果たした。交渉担当者らによると、同氏は強硬な姿勢で交渉に臨んでいたという。