米ハーバード大学のクローディン・ゲイ学長が2日に辞任したのは、学内での反ユダヤ主義の広がりと自身の論文盗用疑惑を巡る引責の対応だった。大学トップとしての彼女の振る舞いは明らかに同大の評判を落とした。今後問題となるのは、ゲイ氏を学長に選び、今回の大失態で管理責任を負うハーバード大理事会が、同大を支配する口やかましい進歩派勢力との対立を恐れない教育者を次の学長に据えることで、バランスを取り戻せるのかという点だ。イスラム組織ハマスによる昨年10月7日のイスラエル市民虐殺の後の数カ月間、ハーバード大のキャンパスではユダヤ人学生に敵対的な空気が広がっていた。同大の学生新聞「クリムゾン」は、反イスラエルのある抗議行動の際に1人の学生が「『パレスチナ万歳、インティファーダ(反イスラエル闘争)万歳』『インティファーダ、インティファーダ』『インティファーダを世界に広げよう』などと連呼し、集団の行進を率いた」と伝えている。同大のユダヤ教指導者ヒルシー・ザルキ氏は12月13日、大学敷地内では「破壊される恐れがあるため」夜間にマノーラ(ユダヤ教の祝祭日に使う7本枝の燭台)を屋外に出したままにしてはいけないと語った。ダン・サリバン上院議員は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のオピニオン欄で、同大ワイドナー記念図書館内で威嚇的な行動が見られたことを明らかにした。
【社説】ハーバード大学長辞任と今後
大学をリセットする機会だ
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